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白内障手術の多焦点眼内レンズの費用はどのくらい?選定療養と自由診療の違いを旭川の眼科医が解説

「多焦点眼内レンズって費用が高いイメージがある」「選定療養と自由診療って何が違うの?」「実際どのくらいの負担になるの?」。白内障手術で多焦点眼内レンズを検討する際、費用面で悩まれる方は非常に多くいらっしゃいます。

多焦点眼内レンズは、遠くと近く(または遠く・中間・近く)の複数の距離に同時にピントを合わせられる特殊な眼内レンズです。術後の眼鏡依存度を大きく下げられるメリットがある一方、保険適用の単焦点レンズと比べると自己負担額が大きくなります。

この記事では、多焦点眼内レンズの費用体系(選定療養・自由診療)、レンズの種類ごとの費用相場、費用負担を軽減できる制度、そして十川眼科の取り組みについて整理します。旭川市で多焦点眼内レンズを検討している方の判断材料になれば幸いです。

白内障手術で多焦点眼内レンズを選ぶと費用はどうなる?

まず、費用構造の全体像を整理しておきます。

保険診療の単焦点レンズと自費部分がある多焦点レンズの違い

白内障手術で使用する眼内レンズは、大きく「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」に分けられます。

単焦点眼内レンズは、遠く・中間・近くのうち一つの距離にピントが合うレンズで、手術・レンズ代を含めて健康保険が適用されます。3割負担の方の場合、片眼の自己負担額はおおむね5万円前後です(高額療養費制度でさらに軽減されるケースもあります)。

多焦点眼内レンズは、複数の距離にピントが合うよう設計された特殊なレンズです。手術自体は保険診療で受けられますが、レンズ代の一部(単焦点レンズとの差額)は自己負担が必要です。この仕組みが「選定療養」と呼ばれるものです。

費用の内訳を理解する

多焦点眼内レンズを選択した場合の費用は、大きく2つの要素で構成されます。

①保険診療分:手術技術料・術前後の検査代・薬代など。この部分は保険適用で、自己負担割合(1〜3割)に応じた支払いになります。

②選定療養費(自費):多焦点眼内レンズ代と、レンズ選択のための特別検査代など。この部分は全額自費です。

多焦点眼内レンズの費用を確認する際は、この両方の合計額で判断することが大切です。「多焦点は〇〇万円」という数字だけを見ると、実際の総費用と誤解しやすい傾向があるため注意してください。

多焦点眼内レンズの費用体系:選定療養と自由診療の違い

多焦点眼内レンズには、費用体系が異なる2つの選択肢があります。それぞれの違いを理解しておくことが大切です。

選定療養:手術代は保険適用・レンズ代のみ自費

選定療養は、2020年4月から始まった制度で、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術で保険診療と自費診療を組み合わせられる仕組みです。

  • 手術代・術前検査・術後経過観察:保険適用
  • 多焦点眼内レンズ代・特別検査代:自費

厚生労働省が薬事承認し、眼鏡装用率の軽減効果を有すると認められた多焦点眼内レンズが対象となります。日本国内で承認されている主要な多焦点眼内レンズ(パンオプティクス、テクニスシナジー、クラレオンビリティなど)は、選定療養で使用できます。

選定療養では、保険診療分にあたる手術代には高額療養費制度が適用されます。ただし、自費部分(レンズ代)には高額療養費制度は適用されません。

自由診療:全額自費(国内未承認レンズ・レーザー併用など)

以下のケースでは、選定療養が使えず「自由診療」となり、手術代・検査代・レンズ代のすべてが全額自費となります。

  • 国内未承認の多焦点眼内レンズを使用する場合(例:MINIWELL、Intensityなど)
  • フェムトセカンドレーザーによる白内障手術を組み合わせる場合
  • 波面収差解析装置(ORAシステムなど)を使用する場合

自由診療のケースでは、費用が大きく上がることが一般的です。ご希望の術式やレンズが選定療養の対象になるかどうかを、術前に必ず確認してください。

高額療養費制度が使えるかどうか

高額療養費制度は、1か月の医療費が一定額を超えた場合に超過分が払い戻される公的制度です。

  • 選定療養の保険診療分(手術代など) → 高額療養費制度の対象
  • 選定療養費(自費レンズ代) → 対象外
  • 自由診療の全額 → 対象外

保険診療分の自己負担は、高額療養費制度を活用することで大きく軽減できます。所得区分によって上限額が異なりますので、加入している健康保険(協会けんぽ・国民健康保険など)にご確認ください。

多焦点眼内レンズの費用相場:レンズ種類別

多焦点眼内レンズには複数のタイプがあり、費用も異なります。全国的な相場の目安を整理します。実際の費用は医療機関により異なるため、参考としてご覧ください。

2焦点タイプの費用目安

遠くと近くの2点にピントが合う、比較的シンプルな設計の多焦点眼内レンズです。中間距離(パソコン・料理など)はやや見えにくいことがあります。

選定療養での自費部分の費用相場は、片眼でおおむね20万円台となっているケースが多くみられます。

3焦点タイプの費用目安

遠く・中間・近くの3点にピントが合うタイプで、幅広い距離をカバーできます。眼鏡依存度が最も低くなりやすく、選択される方が多いレンズです。代表的な製品として「パンオプティクス」があります。

選定療養での自費部分の費用相場は、片眼で30〜40万円台となっているケースが多くみられます。両眼で60〜80万円前後が全国的な平均的な範囲です。

焦点拡張型(EDOF)タイプの費用目安

遠くから中間までピントが連続的に合うよう設計されたタイプで、ハロ・グレアが比較的出にくいという特徴があります。「テクニスシナジー」「クラレオンビビティ」などがあります。

費用相場は、片眼でおおむね30万円前後となっているケースが多くみられます。

乱視矯正付きタイプの費用目安

多焦点眼内レンズに乱視矯正機能を組み合わせた「トーリックタイプ」もあります。乱視がある方は、通常のレンズでは術後も視界が歪むことがあるため、トーリックレンズの適応となることがあります。

トーリック機能が付くことで、通常のレンズより数万円加算されることが一般的です。

医療機関ごとに費用が異なる理由

同じレンズを使っても、医療機関によって費用が異なることがあります。これは、医療機関がレンズ製造元との交渉やスタッフの人件費、術前検査の詳細度合いなどにより自費部分の金額を独自に設定しているためです。

「高いから良い」「安いから不安」というものでもなく、レンズ選びと医療機関選びは費用だけで判断すべきではありません。手術実績・術後フォロー・説明の丁寧さなどを総合的に判断することが大切です。

多焦点眼内レンズの費用を抑える方法

費用面での不安を軽減するために活用できる制度があります。

高額療養費制度の活用

前述の通り、選定療養の保険診療分には高額療養費制度が適用されます。1か月の医療費が所得区分ごとの上限を超えた分は払い戻されます。

事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払いを上限額までに抑えられるため便利です。加入している健康保険にお問い合わせください。

医療費控除の活用

多焦点眼内レンズの費用(選定療養費・自由診療費ともに)は、確定申告における医療費控除の対象となります。

1年間に支払った医療費の合計が10万円(または所得の5%)を超えた場合、超過分について所得税・住民税の控除を受けられます。ご家族の医療費と合算して計算できるため、多焦点レンズを使用する場合は控除額が大きくなりやすい傾向があります。

領収書は必ず保管し、確定申告の際に活用してください。

民間の医療保険の給付金

ご加入の民間医療保険によっては、白内障手術に対して手術給付金が支払われることがあります。保険約款によって条件が異なるため、契約している保険会社に確認することをおすすめします。

「日帰り手術」「入院を伴う手術」で給付額が変わるケースもあります。事前に問い合わせておくと安心です。

傷病手当金の活用

会社員・公務員の方で、白内障手術のために連続して4日以上休業する場合、健康保険から傷病手当金が支給される可能性があります。給料の約2/3が支給される制度です。

自営業の方や国民健康保険加入の方には原則として傷病手当金の制度はありません。ご自身の加入する保険で確認してください。

十川眼科の多焦点眼内レンズへの取り組み

多焦点眼内レンズは費用面が選択のハードルになりやすい治療です。十川眼科では、多焦点レンズをより身近な選択肢にすることを大切に考えています。

多焦点レンズを身近な選択肢にするために

十川眼科および十川眼科大町院では、多焦点眼内レンズの費用面での配慮を続けています。「費用が高いから諦める」ではなく、「メリットとデメリットをしっかり理解したうえで、生活に合う方が選べる」状態を目指しています。

そのために、多焦点眼内レンズの費用を、患者さんに選んでいただきやすい価格帯で提供できるよう継続的に取り組んでいます。多焦点レンズが必要な方・向いている方に、費用面を理由に単焦点しか選べないという状況をなくしたい、というのが当院の考え方です。

具体的な費用については、レンズの種類・乱視矯正の有無・両眼か片眼か・現在の目の状態などによって異なるため、診察時に丁寧にご説明します。「多焦点は費用面で難しいと思っていた」という方もお気軽にご相談ください。

患者さん一人ひとりに合った提案

もう一つ大切にしているのは、多焦点眼内レンズが必ずしもすべての方に最適とは限らないという視点です。単焦点眼内レンズのほうが向いている方もいれば、多焦点で日常生活がより快適になる方もいらっしゃいます。

  • 職業や趣味で頻繁に使う距離
  • 夜間運転の頻度
  • 白内障以外の眼疾患の有無(緑内障・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症など)
  • 眼鏡使用への抵抗感
  • 費用面での希望

こうした要素を丁寧に伺ったうえで、多焦点・単焦点・乱視矯正の有無を含めて最適な選択肢をご提案します。「費用が抑えられるから多焦点にしましょう」ではなく、「あなたに合う選択肢はこれです」という説明を心がけています。

費用面だけで判断しないために大切なこと

費用は重要な判断要素の一つですが、それだけで決めるべきではない項目もあります。

生活スタイルに合ったレンズ選び

多焦点眼内レンズにも複数のタイプがあり、それぞれ得意な見え方が異なります。「安いから」「人気だから」ではなく、ご自身の生活の中で最も使いたい距離と、譲れない見え方の質を明確にすることが大切です。

例えば、細かい手作業が中心の方には外部の質を重視した選び方が向いています。長距離運転が多い方には遠方の見え方の鮮明さや、夜間のハロ・グレアの出にくさが重要な判断基準になります。

白内障以外の眼疾患との関係

緑内障・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症などの眼疾患が合併している場合、多焦点眼内レンズが適応とならないケースがあります。これらの疾患があると多焦点レンズの光の分散が視機能に影響しやすくなり、単焦点レンズのほうが安全な選択肢になることがあります。

高価なレンズが必ずしも最適ではないという視点は、他の眼疾患をお持ちの方には特に重要です。

術後のライフスタイルを見据えた検討

眼内レンズは基本的に一生使うものです。「今」の状態だけでなく、5年後・10年後の生活も見据えて選ぶことが大切です。

  • 定年後に趣味の時間が増える予定
  • 引退後に運転頻度が減るかもしれない
  • 手芸や読書など近距離作業が長時間になる可能性

こうした将来の変化も含めて、担当医と一緒にレンズ選びを進めることをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q1. 多焦点眼内レンズは全額自費ですか?

多くの場合、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は「選定療養」で受けられます。手術代や術前後の検査代・薬代は保険適用(自己負担割合1〜3割)で、多焦点レンズ代と特別検査代の部分のみが自費です。国内未承認の多焦点レンズやフェムトセカンドレーザー併用手術は「自由診療」となり全額自費です。ご希望の術式が選定療養の対象になるかは、術前の診察で必ずご確認ください。

Q2. 多焦点眼内レンズ両眼の費用相場はどのくらいですか?

全国的な相場は、選定療養の場合、両眼で60〜80万円前後というケースが多くみられます。使用するレンズの種類(2焦点・3焦点・EDOF・乱視矯正付き)と医療機関によって費用は異なります。これに保険診療分の手術代(3割負担で両眼10〜15万円程度)を加えた金額が総費用の目安となります。詳細は診察時にご確認ください。

Q3. 多焦点眼内レンズは高額療養費制度で費用が戻ってきますか?

高額療養費制度が適用されるのは保険診療分(手術代・検査代・薬代など)のみです。多焦点眼内レンズ代の自費部分は対象外です。一方、確定申告の医療費控除では自費部分も対象になるため、領収書を保管して活用することをおすすめします。ご家族の医療費と合算して10万円を超える場合、税額の軽減が期待できます。

Q4. 十川眼科の多焦点眼内レンズの費用はいくらですか?

十川眼科および十川眼科大町院では、多焦点眼内レンズをより多くの患者さんに選んでいただけるよう、費用面の配慮を続けています。具体的な費用はレンズの種類・乱視矯正の有無・両眼か片眼かによって異なるため、診察時に丁寧にご案内します。「多焦点は費用面で難しいと感じていた」という方も、まずは一度ご相談ください。

Q5. 多焦点眼内レンズの費用に見合う効果はありますか?

多焦点眼内レンズは眼鏡への依存度を大きく下げられるメリットがあり、術後の生活の質を高めやすい選択肢です。ただし、費用と効果のバランスは個人の生活スタイルによります。眼鏡使用が特に苦にならない方や、精密な視力を最優先したい方には単焦点でも十分満足できるケースがあります。「費用対効果」は本人の生活スタイル次第で変わるため、担当医とじっくり相談することが大切です。

旭川で多焦点眼内レンズのご相談は十川眼科へ

十川眼科は旭川市緑が丘に位置する眼科クリニックです。白内障の診断・手術・多焦点眼内レンズのご相談まで、一貫して対応しています。十川眼科大町院とあわせて、患者さんに合った治療選択肢のご提案を心がけています。

「多焦点眼内レンズって高そうで踏み切れない」「費用の詳細を知ってから検討したい」「自分は多焦点向きなのか単焦点向きなのか知りたい」という段階からでもお気軽にご相談ください。当院では、費用面での配慮とともに、レンズ選びを患者さんの生活スタイルと本当のニーズから考えるプロセスを大切にしています。

旭川市近郊で白内障手術を検討中の方、多焦点眼内レンズをより現実的な選択肢として考えたい方は、ぜひご来院ください。

【院長コメント】多焦点レンズを身近な選択肢にするために

外来で患者さんとお話ししていて感じるのは、多焦点眼内レンズが「費用が高いもの」というイメージから、初めから選択肢に入れずに諦めてしまう方が本当に多いということです。

多焦点眼内レンズは、術後の眼鏡依存度を大きく下げられる素晴らしい選択肢です。若い頃の水晶体のようにピントを自動調節する能力を完全に再現するわけではありませんが、遠くも近くも眼鏡なしで見えるという生活は、多くの患者さんに実感していただける価値だと思います。

一方で、費用面が大きなハードルになっていることも事実です。この状況をなんとかしたいという思いから、十川眼科および大町院では、多焦点眼内レンズの費用面の配慮を続けています。「費用のせいで多焦点を諦めた」ではなく、「メリットとデメリットを理解したうえで、自分の生活に合うものを選べた」と感じていただける状態を目指しています。

もちろん、多焦点が全員にとって最適とは考えていません。眼の状態・合併する疾患・ライフスタイル・費用への考え方を含めて、単焦点のほうが向いている方もいらっしゃいます。「安いから多焦点」でも「高いから諦める」でもなく、その方に本当に合う選択を一緒に考えるという姿勢は変わりません。

高額療養費制度・医療費控除・民間医療保険の活用など、費用負担を軽減できる仕組みも意外と知られていません。診察の際にはこうした制度の使い方も含めてご案内していますので、費用面で悩んでいる方はまずお気軽に相談にいらしてください。

旭川で長く自立した生活を送っていただくためにも、費用面がハードルになって最適な選択ができないという状況は避けたいと考えています。多焦点眼内レンズが少しでも身近な選択肢になるよう、これからも取り組みを続けていきます。

十川眼科 院長 十川健司(日本眼科学会専門医・医学博士)

まとめ

白内障手術で多焦点眼内レンズを選ぶ場合、費用は「選定療養」か「自由診療」かで大きく変わります。選定療養は手術代が保険適用でレンズ代のみ自費、自由診療は全額自費です。国内承認の主要な多焦点眼内レンズは選定療養の対象となります。

費用相場は、選定療養の自費部分で片眼20〜40万円台、両眼で60〜80万円前後がおおむねの目安です。レンズの種類(2焦点・3焦点・EDOF・乱視矯正付き)と医療機関により異なります。保険診療分には高額療養費制度が適用され、多焦点レンズ費用の自費部分は医療費控除の対象です。

十川眼科および十川眼科大町院では、多焦点眼内レンズをより多くの方に選んでいただけるよう費用面の配慮を続けています。「費用面で難しいと感じていた」「多焦点は諦めていた」という方も、まずは一度ご相談ください。費用だけでなく、生活スタイル・眼の状態・将来の見え方を総合的に考えたレンズ選びをサポートします。

著者情報

医療法人光健会 理事長 十川健司

  • 日本眼科学会専門医・網膜硝子体学会所属
  • 医学博士・眼科手術学会所属
  • 視覚障害者用補装具適合判定医
  • ボトックス施注資格認定医