眼底検査で何がわかる?発見できる目の病気・全身疾患を旭川の眼科医が解説

「健康診断で眼底検査を受けたけれど、何を調べているのか分からなかった」「糖尿病があるから眼底検査を勧められたけれど、目のどこを見るの?」「40歳を超えたら眼底検査を受けたほうがいいと聞いた」。こうした声を、外来でよく耳にします。
眼底検査は、眼球の奥にある網膜・視神経・血管の状態を観察する検査です。実は、眼底は人体の中で血管や神経を直接目で確認できる唯一の場所で、目の病気だけでなく、高血圧・糖尿病・動脈硬化といった全身疾患の状況まで把握できる、非常に情報量の多い検査なのです。
この記事では、眼底検査で何がわかるのか、発見できる目の病気と全身疾患、検査の種類と流れ、費用、受けるべきタイミングまでを整理します。旭川市にお住まいで、目や全身の健康管理に関心のある方の参考になれば幸いです。
眼底検査とは?目の奥を観察する検査
まず、眼底検査の基本を整理しておきます。
眼底=網膜・視神経・血管
「眼底」とは、瞳孔から目の奥を覗いたときに見える部分のことで、主に以下の3つの組織が観察対象となります。
- 網膜:目に入った光を感じ取り、脳に情報を送る神経の膜。カメラでいえばフィルムやセンサーにあたる部分
- 視神経:網膜が受け取った情報を脳に伝える神経の束。眼底では「視神経乳頭」として観察される
- 血管:網膜に酸素と栄養を届ける動脈・静脈
眼底検査ではこれらを観察して、正常か異常か、異常があればどの程度進行しているかを評価します。
血管を「生」で見られる唯一の臓器
人体の中で、血管や神経を「切らずに」「非侵襲的に」「直接目で観察できる」場所は、眼底だけです。皮膚の下の血管は見えず、内臓の血管も画像診断でしか把握できませんが、眼底の血管は光を当てるだけで観察できます。
この特性から、眼底検査は「目の病気を調べる検査」であると同時に、「全身の血管の状態を把握するための検査」でもあります。高血圧や糖尿病の管理・動脈硬化の評価に欠かせない検査として、健康診断にも取り入れられています。
眼底検査で何がわかる?【目の病気編】
まず、眼底検査で発見できる代表的な目の病気を整理します。
緑内障(視神経の障害)
緑内障は、視神経が徐々に障害される病気で、日本人の中途失明原因の第1位です。眼底検査では、視神経が集まる「視神経乳頭」の陥凹(へこみ)の大きさや、色調の変化を観察します。
緑内障の視神経乳頭には特徴的な陥凹の拡大や、周囲の網膜神経線維層の欠損が見られます。眼底検査で早期発見できれば、点眼薬などによる治療で進行を遅らせられます。40歳以上の20人に1人が緑内障を持つとされ、眼底検査による定期的なチェックが特に重要です。
加齢黄斑変性(黄斑部の異常)
加齢黄斑変性は、網膜の中心にある「黄斑」が加齢に伴って障害される病気で、視野の中心が見えにくくなります。眼底検査では、黄斑部の色調・浮腫(むくみ)・出血・ドルーゼン(老廃物の沈着)などを確認します。
早期に発見できれば、滲出型については抗VEGF薬治療で進行を抑えられる可能性があります。50歳以上の方は特に意識して受けたい検査です。
糖尿病網膜症(糖尿病による網膜障害)
糖尿病の三大合併症の一つが糖尿病網膜症です。高血糖状態が続くと、網膜の細い血管が障害され、出血・浮腫・新生血管などが起こります。進行すると失明に至ることもある深刻な病気です。
糖尿病網膜症は初期には自覚症状がほとんどなく、眼底検査でしか発見できません。糖尿病と診断されている方は、症状がなくても定期的な眼底検査が必須です。眼底の変化から糖尿病の血糖コントロール状態も推測できるため、内科での管理とあわせて重要な意義があります。
網膜剥離・網膜裂孔
網膜が眼底から剥がれてしまう「網膜剥離」や、その前段階の「網膜裂孔」も眼底検査で発見できます。飛蚊症の急増や光視症(光が走るように見える)を感じたときは、眼底検査で網膜の状態を確認することが重要です。
網膜剥離は放置すると失明につながる可能性があるため、早期発見・早期治療が視力を守る鍵となります。散瞳検査によって網膜の周辺部まで詳しく観察することで、裂孔や剥離の初期を捉えることができます。
網膜静脈閉塞症・網膜動脈閉塞症
網膜内の血管が詰まる「網膜静脈閉塞症」「網膜動脈閉塞症」も眼底検査で発見される疾患です。特に網膜動脈閉塞症は、突然の視力低下として現れ、緊急対応が必要な状態です。
これらの疾患は高血圧・動脈硬化・血栓形成傾向のある方に多く見られ、全身の血管の健康状態と密接に関わっています。
高血圧網膜症
長期間続く高血圧は、網膜の細い血管にダメージを与えます。動脈の細くなり、動脈と静脈の交差部での圧迫、出血、白斑(脂質の沈着)などが眼底検査で確認できます。
高血圧網膜症は、高血圧のコントロール状況を把握する重要な指標です。眼底の変化から、脳や心臓の血管の状態を推測することもでき、脳卒中・心筋梗塞のリスク評価にもつながります。
その他の網膜・視神経疾患
その他にも、以下のような目の病気が眼底検査で発見できます。
- 中心性漿液性脈絡網膜症:黄斑部に水がたまる病気
- 網膜色素変性症:遺伝性の網膜疾患
- ぶどう膜炎:眼内の炎症
- 視神経炎:視神経の炎症(多発性硬化症などが原因のことも)
- 視神経萎縮:視神経の変性
- 強度近視による網膜変化:豹紋状眼底・後部ぶどう腫など
眼底検査で何がわかる?【全身疾患編】
眼底検査の意義は目の病気だけにとどまりません。全身の健康状態を把握するうえでも重要な検査です。
高血圧・動脈硬化の程度
長期間の高血圧は網膜の血管にダメージを与え、動脈が細く硬くなる(動脈硬化)変化が眼底に現れます。眼底の血管の状態から、全身の動脈硬化の進行度をある程度推測できます。
血圧が正常でも動脈硬化が進んでいるケースがあり、眼底検査によって「自分では気づかない全身の血管の変化」を早期に把握することが可能です。
糖尿病・脂質異常症の影響
糖尿病があると、眼底の血管に微小動脈瘤・出血・脂質の沈着などが起こります。血糖コントロールの状態が眼底の変化に反映されるため、内科での治療効果を評価する指標にもなります。
脂質異常症(高コレステロール)でも、眼底の血管に脂質沈着が観察されることがあります。
脳腫瘍・脳動脈瘤(うっ血乳頭)の可能性
頭蓋内の圧力が高まる病気(脳腫瘍・脳動脈瘤・水頭症など)があると、視神経乳頭が腫れて盛り上がる「うっ血乳頭」という所見が眼底検査で観察されます。
「頭痛が続く」「見え方に違和感がある」といった症状に加えてうっ血乳頭が見つかった場合、脳神経外科での精密検査につながることがあります。眼底検査が思わぬ命に関わる病気の発見の入り口になるケースがあるのです。
循環器疾患のリスク評価
眼底の血管の状態から、脳卒中・心筋梗塞・狭心症といった血管イベントのリスクを推測できるとする研究もあります。眼底の細い血管に動脈硬化の変化が強く現れている場合、全身の血管でも同様の変化が進んでいる可能性が高いためです。
眼底検査は「目の検査」であると同時に「全身の血管ドック」の役割も担っています。
眼底検査の種類と特徴
眼底検査にはいくつかの方法があり、目的に応じて使い分けます。
眼底カメラによる撮影
眼底カメラという専用のカメラで、眼底の写真を撮影する方法です。健康診断で最も一般的に行われる方法で、瞳孔を広げなくても撮影できる無散瞳眼底カメラが広く使われています。
短時間で終わり、記録として残せるため経過観察にも便利です。ただし、眼底の中央部分は詳しく観察できても、周辺部までは詳しく確認できないという限界があります。
倒像鏡・直像鏡による直接観察
眼科医が倒像鏡(頭に装着するタイプの機器)や直像鏡を使って、直接眼底を観察する方法です。散瞳薬で瞳孔を広げてから行うことが多く、眼底の周辺部まで詳しく確認できます。
網膜剥離や網膜裂孔の疑いがある場合、この方法で丁寧に観察することが重要です。
散瞳検査(詳しく調べたいとき)
眼底を詳しく調べる必要があるときは、散瞳薬という点眼薬で瞳孔を広げてから検査を行います。瞳孔が広がることで眼底の広い範囲を観察でき、周辺部の網膜裂孔なども見つけやすくなります。
散瞳検査は、特に以下のような場合に必要となります。
- 飛蚊症の急増・光視症を訴える方
- 糖尿病網膜症の詳しい評価
- 網膜剥離の疑い
- 加齢黄斑変性の詳しい評価
- 白内障術前・術後の評価
OCT(光干渉断層計)
OCTは、網膜をミクロン単位の解像度で断層撮影できる非侵襲的な検査です。眼底カメラでは平面的にしか観察できない網膜を、立体的・断層的に評価できます。
緑内障の視神経周囲の網膜神経線維層の厚み測定、加齢黄斑変性の網膜内の浮腫や新生血管の検出、糖尿病網膜症の黄斑浮腫の評価などに非常に有用です。近年の眼科診療で欠かせない検査となっています。
蛍光眼底造影検査
蛍光色素を静脈に注射して、眼底の血管や新生血管の状態を詳しく撮影する検査です。糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症・加齢黄斑変性などで血管の異常を詳しく評価する際に行います。
副作用としてまれにアレルギー反応が起こる可能性があるため、実施の可否は個別に判断されます。基幹病院や網膜専門クリニックで実施されることが多い検査です。
眼底検査の流れと所要時間
実際の検査の流れを理解しておくと、受診時に慌てずに済みます。
散瞳なしの検査(数分)
無散瞳眼底カメラによる撮影は、片眼数十秒〜1分程度で完了します。目薬を使わないため、検査後すぐに通常の生活に戻れます。健康診断や初診時のスクリーニングとして広く行われています。
ただし、周辺部の観察はできないため、より詳しい評価が必要な場合は散瞳検査が推奨されます。
散瞳ありの検査(30分〜1時間)
散瞳薬(瞳孔を広げる目薬)を点眼してから、瞳孔が十分に広がるまで20〜30分ほど待機します。その後、眼底検査を行います。検査自体は数分ですが、待機時間を含めると全体で30分〜1時間程度必要です。
散瞳した状態は3〜5時間ほど続き、その間はまぶしさやピントの合わせにくさが出ます。詳しく後述しますが、この間の運転や精密作業は避ける必要があります。
散瞳検査後の注意点(運転不可)
散瞳検査後の数時間は、以下の点に注意してください。
- 自動車・自転車の運転はできません:ピント調節が困難で、まぶしさも強くなるため、公共交通機関やタクシーの利用、ご家族の送迎などをお願いします
- サングラスを持参すると便利:屋外の眩しさが強く感じられます
- 細かい作業は避ける:仕事や勉強はできれば散瞳の影響が落ち着いてから
- 旭川の冬季は雪面反射に注意:眩しさが特に強く感じられるため、外出時の眼の保護を意識してください
眼底検査の費用と保険適用
眼底検査は保険適用の検査です。3割負担の方の場合、以下がおおよその目安です。
- 眼底カメラ撮影:片眼で数百円程度
- 眼科医の直接観察・散瞳検査:診察料に含まれる部分と、追加検査料の組み合わせで数百円〜千円台程度
OCT検査を追加すると、さらに費用が加算されます。詳細な費用については診察時にご確認ください。健康診断のオプションで受ける場合は、健診機関の設定により費用が異なります。
いずれにしても、失明につながる病気の早期発見や全身疾患の把握という価値を考えると、非常にコストパフォーマンスの高い検査といえます。
眼底検査を受けるべき人・タイミング
以下に当てはまる方は、眼底検査を意識的に受けることをおすすめします。
40歳を過ぎたら定期検診を
40歳以上になると、緑内障・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症など、さまざまな眼底疾患のリスクが上昇します。特に緑内障は40歳以上の20人に1人が持つとされ、初期には自覚症状がないため眼底検査での早期発見が重要です。
年に1回の眼底検査を、健康診断や眼科での定期検診の中に組み込むことを推奨します。
糖尿病がある方
糖尿病のある方は、糖尿病網膜症の早期発見と経過観察のために、定期的な眼底検査が必須です。糖尿病網膜症は初期には自覚症状がなく、進行してから発見されると失明のリスクも高まります。
糖尿病と診断されたら、症状がなくても年に1〜2回の眼底検査を続けてください。血糖コントロールが不安定な方や、すでに網膜症が始まっている方は、より頻繁な受診が必要です。
高血圧・脂質異常症がある方
高血圧・脂質異常症などの生活習慣病がある方は、全身の血管の変化を把握する目的でも眼底検査が有用です。高血圧網膜症・動脈硬化の程度を評価することで、脳血管・心血管イベントのリスク管理にもつながります。
家族に緑内障・加齢黄斑変性の方がいる
これらの病気には遺伝的要素があるとされており、家族歴のある方は発症リスクが高くなります。症状の有無に関わらず、40歳より早い段階から定期的な眼底検査を意識してください。
強度近視の方
強度近視の方は、網膜が薄く伸びている状態のため、網膜剥離・網膜裂孔・強度近視性黄斑症・緑内障などのリスクが高くなります。強度近視の方は年齢に関わらず定期的な眼底検査が推奨されます。
見え方の変化を感じたとき
以下のような変化を感じたら、年齢や既往に関係なく速やかに眼底検査を受けてください。
- 視野の一部が欠けて見える
- 物が歪んで見える
- 飛蚊症が急に増えた
- 光がピカピカ見える(光視症)
- 急激な視力低下
- 中心が見えにくい
眼底検査を受ける頻度の目安
眼底検査の頻度は、リスクや既往によって変わります。
症状のない方は年1回
自覚症状のない40歳以上の方は、年に1回の眼底検査を目安にしてください。健康診断の中に眼底検査が含まれている場合は、それを活用するのも一つの方法です。健診の眼底検査で異常が指摘されたら、必ず眼科での精密検査を受けましょう。
生活習慣病の方はより頻繁に
糖尿病・高血圧・脂質異常症のある方は、年1〜2回の眼底検査を推奨します。特に糖尿病網膜症が始まっている方は、状態に応じて3〜6ヶ月ごとの経過観察が必要になることがあります。内科の主治医と眼科の担当医で連携しながら進めていきます。
経過観察が必要な方の頻度
以下のような方は、より頻繁な検査が必要になります。
- すでに緑内障の治療中の方:3〜6ヶ月ごと
- 加齢黄斑変性の経過観察中の方:1〜3ヶ月ごと
- 糖尿病網膜症の中期以降:1〜3ヶ月ごと
- 網膜静脈閉塞症・網膜裂孔レーザー治療後:状態に応じて
いずれも担当医の指示に従ってください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 眼底検査は健康診断で受けられますか?
多くの健康診断で眼底検査(眼底カメラによる撮影)がオプションまたは基本項目として含まれています。ただし、健診の眼底検査は無散瞳での撮影が中心で、周辺部の詳細な観察はできません。健診で異常が指摘された場合や、糖尿病などのハイリスク因子がある方は、眼科での精密な眼底検査を追加で受けることをおすすめします。
Q2. 眼底検査で緑内障はわかりますか?
眼底検査で視神経乳頭の陥凹拡大や神経線維層の欠損を観察することで、緑内障の疑いを見つけることができます。ただし、確定診断には視野検査やOCT検査などを組み合わせて総合的に評価する必要があります。眼底検査は緑内障のスクリーニングとして非常に有用な検査の一つです。
Q3. 散瞳検査を受けたら運転できないと聞きました。本当ですか?
はい、散瞳検査後は瞳孔が広がったままの状態が3〜5時間ほど続き、まぶしさとピントの合わせにくさが強くなります。この間の自動車・自転車の運転は非常に危険なため、控えていただく必要があります。公共交通機関やタクシーでの帰宅、ご家族の送迎などをお願いします。散瞳の必要な検査を受ける日は、事前にスケジュールを調整することをおすすめします。
Q4. 眼底検査で全身の病気もわかるって本当ですか?
はい、本当です。眼底は人体の中で血管や神経を直接観察できる唯一の場所です。眼底の血管の状態から、高血圧・動脈硬化・糖尿病・脂質異常症などの全身疾患の状況を推測できます。うっ血乳頭という所見が見つかれば、脳腫瘍や脳動脈瘤などの頭蓋内疾患の可能性を疑うこともあります。眼底検査は「目の検査」であると同時に「全身の血管ドック」の役割も担っています。
Q5. 眼底検査は痛いですか?
眼底検査自体に痛みはありません。眼底カメラの撮影はフラッシュが光るだけで、目に触れることもありません。散瞳検査の場合、目薬をさすときの少しの刺激感がある程度です。倒像鏡や直像鏡による観察でも、光を当てるだけで痛みはありません。まぶしさは感じますが、痛みで心配される必要はありません。
旭川で眼底検査のご相談は十川眼科へ
十川眼科は旭川市緑が丘に位置する眼科クリニックです。眼底検査・OCT検査を含む精密な眼底評価に対応しています。
「40歳を過ぎて一度眼底検査を受けたい」「糖尿病があるので定期的に診てもらいたい」「健康診断で眼底に異常を指摘された」「見え方の変化が気になる」といった段階から、お気軽にご相談ください。眼底カメラ・OCT・散瞳検査を組み合わせて、現在の眼底の状態を丁寧に評価します。
旭川市は冬季の生活習慣病が悪化しやすい環境(運動不足・食生活の変化など)でもあります。糖尿病・高血圧をお持ちの方は、内科での管理と並行して眼底検査を続けることが大切です。地域のかかりつけ眼科として、目と全身の健康を守るお手伝いをします。
【院長コメント】眼底検査は「目と全身を守る」大切な検査
外来で「眼底検査って何ですか?」と聞かれることが今もよくあります。健康診断で受けている方でも、実は何を調べているのか正確にご存じない方は少なくありません。
眼底検査は、私たち眼科医にとって最も情報量の多い検査の一つです。緑内障・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症といった失明につながる病気の早期発見はもちろん、動脈硬化・高血圧の程度、まれには脳腫瘍のサインまで捉えることができます。眼底は人体の中で唯一、血管や神経を「切らずに」「直接目で」観察できる場所であり、これほど非侵襲的に多くの情報が得られる検査は他にありません。
特に旭川で診療していて感じるのは、冬季の生活パターンの変化が全身疾患の管理に影響を与えているケースがあることです。積雪で外出が減り、運動不足になりやすい季節、食生活も変化しがちです。糖尿病や高血圧のある方は、この時期に血糖・血圧のコントロールが乱れやすく、それが眼底の変化として現れることがあります。
40歳を超えたすべての方に、症状がなくても年1回の眼底検査をおすすめしています。特に、家族に緑内障や加齢黄斑変性の方がいる、糖尿病・高血圧がある、強度近視である、といったリスクのある方には、より意識して受けていただきたい検査です。
「見えているから大丈夫」ではなく、「見えているうちに調べておく」という発想への転換を、ぜひしていただきたいと思います。眼底検査で早期に発見できる病気は多く、早期治療で視力や全身の健康を守れる可能性が高まります。
散瞳検査を受ける日は運転ができなくなるため、公共交通機関や送迎の手配をお願いすることになります。少し手間がかかる検査ではありますが、その価値は十分にあります。少しでも気になることがあれば、まずはご相談ください。
十川眼科 院長 十川健司(日本眼科学会専門医・医学博士)
まとめ
眼底検査は、眼球の奥にある網膜・視神経・血管の状態を観察する検査です。緑内障・加齢黄斑変性・糖尿病網膜症・網膜剥離・網膜静脈閉塞症などの目の病気を発見できるだけでなく、高血圧・動脈硬化・糖尿病といった全身疾患の状態も把握できる、非常に情報量の多い検査です。
眼底検査の方法には、無散瞳眼底カメラでの撮影、倒像鏡・直像鏡による直接観察、散瞳検査、OCT、蛍光眼底造影などがあります。目的に応じて使い分けることで、様々な病気の早期発見・経過観察が可能になります。散瞳検査を受けた日は、3〜5時間ほどまぶしさと近見障害が続くため、運転は避ける必要があります。
40歳以上の方、糖尿病・高血圧・脂質異常症のある方、家族に緑内障や加齢黄斑変性の方がいる方、強度近視の方は、症状の有無に関わらず定期的な眼底検査をおすすめします。年1回を基本として、リスクや既往に応じて頻度を調整してください。
「見えているから大丈夫」と自己判断で受診機会を逃さず、眼底検査を目と全身の健康を守る大切な機会として活用していただければと思います。旭川市で眼底検査をご検討の方は、まずはお気軽にご相談ください。


