1. ホーム
  2. コラム
  3. 白内障で夜間が見えにくいのはなぜ?原因・症状・対処法を旭川の眼科医が解説

白内障で夜間が見えにくいのはなぜ?原因・症状・対処法を旭川の眼科医が解説

「夜間の運転中、対向車のヘッドライトがやけにまぶしい」「夜になると視界がぼやけて歩行者や標識が見えづらい」「街灯の周りに輪っかがかかって見える」——こうした夜間の見えにくさを年齢のせいだと感じて見過ごしている方は少なくありません。

しかし、夜間に特に見えにくさを感じるようになった場合、白内障が背景にあるケースが多くあります。白内障による夜間の見えにくさは、光の散乱や瞳孔の変化など複数のメカニズムが関係しており、ある程度の段階まで進行してから現れることが特徴です。

この記事では、白内障で夜間が見えにくくなる症状とメカニズム・夜間運転のリスク・自分でできる対処法・根本治療までを整理しています。旭川市にお住まいで、冬季の夜間運転や外出に不安を感じている方の参考になれば幸いです。

白内障で夜間が見えにくくなる主な症状

白内障で夜間に感じる見えにくさには、いくつか特徴的な症状があります。一つひとつ確認してみましょう。

光のにじみ・輪(ハロ)

街灯・対向車のヘッドライト・信号機などの光源を見たときに、光の周りに輪がかかったように見える現象を「ハロ」といいます。月や明かりの周囲にぼんやりとした光の輪が見える、あるいは光源が大きく広がって見えるといった感覚です。

ハロは白内障による光の散乱が原因で起こることが多く、夜間に光源を見る場面で特に強く感じられます。

まぶしさ・ぎらつき(グレア)

光がにじんで広がって見える、あるいは異常にまぶしく感じる現象を「グレア」といいます。対向車のヘッドライトが目に刺さるように感じる、街灯が異常にギラついて見えるといった症状です。

グレアが強くなると、光源そのものだけでなく、周囲の景色全体が見えにくくなります。夜間運転で対向車とすれ違うたびに一瞬視界が真っ白になるような感覚を覚える方は、グレアによる影響が出ている可能性があります。

暗い場所での見えづらさ・コントラストの低下

白内障が進行すると、明暗の差を識別する能力(コントラスト感度)が低下します。明るい場所では問題なく見えていても、暗い場所では物の輪郭がぼやけたり、明暗の境界がはっきりしなかったりするようになります。

夜道で歩行者の姿が背景に溶け込んで見えにくい、夜間の路面の段差や障害物に気づきにくいといった症状は、コントラスト感度の低下によるものです。明るい場所と暗い場所の切り替わりに目が慣れるまで時間がかかる「暗順応の遅れ」が出ることもあります。

視界全体のかすみ

昼間にもある程度感じる視界のかすみが、夜間にはより強く現れることがあります。光量が少ない環境では網膜に届く光が減るため、白内障の濁りによる影響が相対的に大きくなるためです。

「昼間はそれほど気にならないけれど、夕方から夜にかけて見えづらさを感じる」という方は、白内障の可能性を一度確認してみる価値があります。

なぜ白内障だと夜間が見えにくくなるのか:メカニズム

夜間に特有の見えにくさが起こる理由を、白内障の仕組みから整理します。

水晶体の濁りによる光の散乱

白内障は、眼球内の水晶体(カメラのレンズに相当する部分)が濁ることで起こります。透明だった水晶体が濁ると、外から入ってきた光がまっすぐ網膜に届かず、内部で散乱を起こします。

昼間は光量が豊富なため、多少の散乱があっても全体の見え方への影響は限定的です。一方、夜間は限られた光源(街灯・ヘッドライトなど)に依存するため、その光が散乱することでハロやグレアといった症状が顕著に現れます。

暗い場所で瞳孔が広がることで起こる影響

暗い環境では、より多くの光を取り入れるために瞳孔が広がります。瞳孔が広がると、水晶体の中心部だけでなく周辺部からも光が入ってくるようになります。

白内障の濁りが水晶体の周辺部にある場合、明るい場所では瞳孔が小さく濁っている部分を通過する光は少ないため影響が出にくく、暗い場所では瞳孔が広がって濁っている部分を多くの光が通過するため、急に見えにくさが強まることがあります。「夜だけ症状が強い」と感じる白内障の方には、このパターンが多く見られます。

後嚢下白内障・皮質白内障は特に夜間症状が出やすい

白内障は水晶体のどの部分から濁り始めるかによって種類が分けられます。

皮質白内障は水晶体の外側(皮質)から車輪のスポークのように濁りが広がるタイプで、光の散乱が起こりやすく、夜間のグレア・ハロが強く出る傾向があります。

後嚢下白内障は水晶体の後ろ側から濁るタイプで、初期から強いまぶしさを感じやすく、特に明るい光源に対する症状が顕著です。糖尿病・アトピー性皮膚炎・ステロイド薬の長期使用が背景にあることが多く、若い世代でも発症することがあります。

夜間症状を強く感じている場合、これらのタイプの白内障が進行している可能性があります。

夜間が見えにくいとき疑うべき白内障以外の眼疾患

「夜だけ見えにくい」という症状は、白内障以外の眼疾患でも起こります。自己判断せず、眼科で原因を確認することが重要です。

緑内障(夜間の視野欠損)

緑内障は眼圧の上昇などにより視神経が障害される疾患で、視野が徐々に欠けていくのが特徴です。視野欠損は周辺視野から始まることが多く、進行するまで自覚しにくい疾患です。

明るい場所では脳が補正して気にならないことが多いですが、暗い場所では補正が効きにくく、視野の欠けに気づきやすくなるケースがあります。緑内障は早期発見・早期治療が視力予後を大きく左右する疾患で、進行した視野欠損は回復しません。40歳以上の方は定期的な眼科検診で確認することが推奨されています。

加齢黄斑変性(中心視力の低下)

加齢黄斑変性は網膜の中心部(黄斑)が障害される疾患で、視野の中心が暗く見えたり、直線が歪んで見えたりするのが特徴です。

夜間や暗い場所では中心部の見えにくさが特に強く感じられることがあります。本を読むときに中心の文字が見えにくい、人の顔が認識しづらいといった症状を伴う場合は、加齢黄斑変性の可能性を疑う必要があります。

夜盲症・網膜色素変性症

網膜の中で光を感知する細胞のうち、暗い場所で働く「桿体細胞」の機能が低下すると、夜間や薄暗い場所で見えにくくなる「夜盲症」が起こります。網膜色素変性症などの遺伝性疾患が原因の場合もあります。

「以前から夜だけ見えにくかった」「家族にも同じような症状の人がいる」という場合は、白内障とは別の疾患の可能性も考慮する必要があります。

ドライアイ・眼精疲労

ドライアイで涙が不安定になると、光の屈折が乱れて夜間に見えにくさを感じることがあります。長時間のスマートフォン・パソコン使用による眼精疲労も同様の症状を引き起こします。

これらは休息や点眼で改善することが多いですが、症状が続く場合は他の疾患の可能性を考えて受診することをおすすめします。

白内障による夜間運転のリスク

白内障による夜間の見えにくさは、夜間運転に直接影響します。安全のためにも以下のリスクを理解しておくことが重要です。

対向車のヘッドライトでまぶしくなる

対向車のヘッドライト、特に最近主流のLEDヘッドライトは光が強く、白内障のある目には強いグレアとして感じられます。ヘッドライトとすれ違う瞬間に視界が真っ白になり、路面や歩行者を一時的に見失うことがあります。

夜間運転中にこの感覚が頻繁に起こるようになったら、運転の安全性が低下しているサインです。

暗い路面で歩行者・標識が見えにくい

コントラスト感度の低下により、暗い路面に立っている歩行者や、暗い背景の中の標識が見えにくくなります。発見の遅れがブレーキ操作の遅れにつながり、事故リスクを高めます。

特に高齢の方が運転される場合は、こうした夜間の見えにくさが事故につながりやすいことが指摘されています。

旭川の冬季夜間:凍結路面・吹雪・雪面反射

旭川市の冬季夜間は、視認性が特に厳しい環境にあります。

凍結した路面は黒く見えにくく(ブラックアイスバーン)、白内障で暗い場所のコントラストが低下していると路面の状態を判断しづらくなります。吹雪では視界が大幅に制限され、白内障による散乱と相まってさらに見えにくくなります。雪面に反射した街灯やヘッドライトの光は、白内障のある目では強い眩しさとして感じられます。

これらの環境では、健常な視機能でも運転は慎重さが必要です。白内障による視機能の低下があると、リスクはさらに高まります。冬季の夜間運転に不安を感じるようになったら、早めに眼科で目の状態を確認することが大切です。

夜間が見えにくいときに自分でできる対処法

根本的な治療には眼科受診が必要ですが、症状を和らげるためにできる工夫もあります。

防眩(アンチグレア)対応の眼鏡やサングラス

夜間運転用のアンチグレア(防眩)コーティングが施された眼鏡は、対向車のヘッドライトによるまぶしさを軽減する効果が期待できます。色付きレンズではなく無色のコーティングタイプを選ぶことで、夜間の光量を落とさずにまぶしさだけを抑えられます。

ただし、これは白内障そのものを治すものではなく、症状を一時的に和らげる対処法です。眼鏡店で相談する際は、現在の眼の状態を眼科で確認したうえで処方を受けることをおすすめします。

車のフロントガラス・ライト類のメンテナンス

フロントガラスが汚れていると、光の散乱がさらに強まり、白内障による症状を悪化させる原因になります。内側・外側ともに清潔に保ちましょう。

自車のヘッドライトのカバーが曇っている場合は、光量が落ちて夜間視界が悪化します。研磨やクリーニングでヘッドライトを明るく保つことも、安全運転につながります。

夜間運転を控える・経路を見直す

夜間の見えにくさが強い場合は、できる限り夜間運転を避けることも一つの選択肢です。買い物や用事はできるだけ日中に済ませる、夜間の移動は家族の運転や公共交通機関・タクシーを利用するといった工夫が安全に直結します。

旭川の冬季は日没が早く、午後の早い時間からすでに薄暗くなります。明るいうちに帰宅できる時間設定を意識することも、夜間の見えにくさへの実用的な対策です。

こんな症状があったら早めに眼科へ

以下のような変化を感じている方は、自己判断で対処を続けるのではなく、眼科を受診して原因を確認することをおすすめします。

  • 夜間の運転で対向車のライトが以前より強くまぶしく感じる
  • 街灯や信号の周りに光の輪(ハロ)が見える
  • 夜道で歩行者や標識が以前より見えにくくなった
  • 暗い場所と明るい場所の切り替わりに目が慣れにくい
  • 眼鏡を替えても夜の見え方が改善しない
  • 視界全体がかすんで見える時間が増えた

白内障の根本的な治療:手術で夜間の見え方は変わるのか

夜間の見えにくさの原因が白内障であれば、手術によって症状の改善が期待できます。

手術で白内障の濁りを取り除く

白内障の根本的な治療は手術のみです。点眼薬は進行を遅らせることを目的とするものであり、濁りを取り除いたり夜間症状を改善する効果はありません。

手術では濁った水晶体を超音波で取り除き、人工の眼内レンズを挿入します。手術によって光の散乱の原因となっていた濁りがなくなるため、グレアやハロ・夜間のかすみなど多くの症状が改善されるケースが多く見られます。

「夜の運転が怖くなくなった」「街灯が以前のように見える」と実感される方が多いのも、白内障手術の効果としてよく聞かれる声です。日常生活への支障が出ている段階であれば、手術を検討することをおすすめします。

多焦点眼内レンズを選ぶ場合の注意点(ハロ・グレア)

手術で挿入する眼内レンズには、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズがあります。

多焦点眼内レンズは複数の距離にピントが合うため、術後の眼鏡依存度を下げられるメリットがあります。一方で、レンズの構造上、夜間に光源を見たときにハロやグレアが出やすいというデメリットがあります。

夜間運転を頻繁にされる方、特に職業ドライバーや旭川の冬季夜間運転が多い方は、多焦点眼内レンズの夜間症状について事前に十分理解したうえで選択することが大切です。場合によっては単焦点眼内レンズのほうが夜間の見え方に適していることがあります。レンズ選びについては術前に担当医師とよく相談してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 夜間だけ見えにくくなるのは白内障の典型的な症状ですか?

白内障による夜間の見えにくさは、特に皮質白内障や後嚢下白内障で起こりやすい症状です。光の散乱や暗い場所で瞳孔が広がる影響により、夜間や薄暗い場所で症状が強く出ることがあります。ただし「夜だけ見えにくい」という症状は、緑内障・加齢黄斑変性・夜盲症などほかの疾患でも起こることがあるため、自己判断せず眼科での確認をおすすめします。

Q2. 夜間運転がつらくなりましたが、手術をすれば改善しますか?

夜間の見えにくさの原因が白内障であれば、手術によって多くの場合改善が期待できます。グレアやハロ・暗い場所での見えにくさが軽減され、夜間運転への不安が減ったとおっしゃる方は多いです。ただし、緑内障や加齢黄斑変性など他の疾患が合併している場合は、手術だけでは症状が完全に解消されないことがあります。まずは原因を正確に把握することが第一歩です。

Q3. 多焦点眼内レンズは夜間に向きませんか?

多焦点眼内レンズはレンズの構造上、夜間にハロやグレアが出やすい傾向があります。夜間運転を頻繁にされる方、特に職業ドライバーの方は、多焦点眼内レンズの夜間症状について事前に十分に理解したうえで選択することが大切です。単焦点眼内レンズのほうが夜間の見え方に適しているケースもあります。担当医師とライフスタイルを共有したうえで決めることをおすすめします。

Q4. 夜間の見えにくさを改善するサプリメントや点眼薬はありますか?

白内障の進行を遅らせる目的で点眼薬(ピレノキシン製剤など)が処方されることはありますが、すでに生じた濁りを取り除いたり夜間症状を改善する効果はありません。ルテインなどの抗酸化サプリメントが白内障の発症リスク低減に役立つとする報告もありますが、進行した白内障による夜間症状の解決にはなりません。症状が出ている場合は眼科での診断と治療を優先してください。

Q5. 夜間運転を控えれば手術はしなくてもいいですか?

夜間運転を控えることで日常生活への影響を一時的に減らすことはできます。ただし、白内障は放置しても自然には改善せず、徐々に進行します。日中の見え方にも影響が出てきたり、進行することで手術の難度が上がったりする可能性があります。夜間運転を控えるかどうかにかかわらず、現在の白内障の状態を眼科で把握し、適切な手術時期を相談しておくことが大切です。

旭川で白内障による夜間の見えにくさのご相談は十川眼科へ

十川眼科は旭川市緑が丘に位置する眼科クリニックです。白内障の診断・経過観察・手術まで一貫して対応しています。「夜の運転が怖くなった」「対向車のライトが以前よりまぶしい」という段階からでもお気軽にご相談ください。

細隙灯顕微鏡による水晶体の観察・視力検査・眼底検査をとおして、夜間の見えにくさの原因が白内障によるものか、それとも他の眼疾患によるものかを丁寧に確認します。

旭川市近郊で冬季の夜間運転に不安を感じている方も、ぜひ一度ご来院ください。

【院長コメント】夜間の見えにくさは「年齢のせい」と片付けないでください

外来でよく耳にするのが「年だから夜は見えにくくて当たり前」というお言葉です。確かに加齢による視機能の変化はありますが、「夜だけ見えにくくなる」「夜の運転が怖くなった」という症状は、白内障の進行サインであることが多いと感じています。

特に旭川の冬季は、日没が早く、雪面反射・路面凍結・吹雪と、ただでさえ夜間の運転環境が厳しい地域です。健常な視機能でも夜間の運転は慎重さが求められる季節に、白内障による視機能の低下が重なれば、思わぬ事故につながりかねません。

外来で患者さんと話していると、「夜の運転を控えていれば大丈夫」「家族に運転してもらえばいい」とおっしゃる方も多いです。生活の工夫はもちろん大切ですが、視機能の低下は夜間運転だけの問題ではありません。日常生活の中で見えにくさが少しずつ広がっていくことを、ぜひ気にかけていただきたいと思います。

夜間の見えにくさを感じたら、自己判断で「年のせい」と片付けず、まずは眼科で目の状態を確認してください。原因が白内障であれば、手術によって夜間の見え方を大きく改善できる可能性があります。緑内障や加齢黄斑変性など、他の疾患が隠れていることもあります。早めの受診が、これからの生活の質を守る第一歩になります。

十川眼科 院長 十川健司(日本眼科学会専門医・医学博士)

まとめ

白内障で夜間が見えにくくなるのは、水晶体の濁りによる光の散乱・瞳孔の広がりによる影響・コントラスト感度の低下といった複数のメカニズムが関係しています。ハロ・グレア・暗い場所での見えにくさといった症状が現れ、特に夜間運転の安全性に直結します。

旭川の冬季夜間は凍結路面・吹雪・雪面反射と視認性が厳しい環境です。白内障による視機能低下が重なると事故リスクが大きく高まります。「夜だけ見えにくい」という症状は緑内障や加齢黄斑変性など他疾患の可能性もあるため、自己判断せず眼科で原因を確認することが大切です。

白内障による夜間の見えにくさは、手術によって改善が期待できます。夜間運転に不安を感じるようになったら、早めの眼科受診を検討してください。

著者情報

医療法人光健会 理事長 十川健司

  • 日本眼科学会専門医・網膜硝子体学会所属
  • 医学博士・眼科手術学会所属
  • 視覚障害者用補装具適合判定医
  • ボトックス施注資格認定医