白内障手術
白内障とは
私たちの眼の中には、カメラのレンズに相当する水晶体という組織があります。正常な水晶体は透明ですが、加齢などが原因で、水晶体を構成するタンパク質に異常が生じ、水晶体が濁ってしまうことがあります。
水晶体が濁って、見え方に影響が出てしまった状態を、白内障といいます。
- 白内障の眼
- 水晶体が濁ってくると、光が通りにくくなり、見え方に影響が出ます。
- 正常な眼
- 水晶体が透明なため、光が十分に通ってよく見えます。
手術について
白内障の手術は、カメラで例えるとレンズ交換をすることに該当します。具体的には、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工のレンズ(眼内レンズ)を眼の中に挿入します。それだけを聞くと大変そうな手術に感じられるかもしれませんが、手術の技術向上や機器の進歩によって、短時間での手術が可能になっており、当院では日帰り手術を行っています。
- 麻酔をかける
- ほとんどの白内障手術は点眼麻酔。麻酔によって手術中はほとんど痛みを感じません。
- 眼内レンズを入れる穴を作る
- 水晶体を包む袋(水晶体嚢)の前面に丸く切れ目を入れます。精密な作業のため、顕微鏡で手元を見ながら行います。施設によっては、この作業をレーザーを用いて行うことがあります。
- 濁った水晶体を取り除く
- 水晶体嚢の切れ目から器具を入れ、超音波で水晶体を砕きながら吸引して取り除きます。
- 眼内レンズを入れる
- 空になった水晶体嚢の中に眼内レンズを入れ、固定します。
<動画で分かる、手術の手順>
単焦点眼内レンズ・多焦点眼内レンズについて
人間の水晶体には、厚さを自動的に変えることで見るものに焦点を合わせる機能があります。近くを見るときは水晶体が厚くなり、遠くを見るときは薄くなります。しかし、年齢を重ねることで、水晶体の厚みを調整する機能が衰え、焦点が合いづらくなるのが老眼とよばれる症状です。
白内障になると、白濁した水晶体の代わりに眼内レンズを挿入しますが、眼内レンズはあらかじめ設定した距離に焦点が合うようになっています。眼内レンズは、合わせる焦点の数によっていくつかの種類に分類されます。
当院では、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズからお選びいただけます。
- 単焦点レンズ
- ある1点の距離に焦点を合わせた眼内レンズです。
- 2焦点レンズ
- ある2点の距離に焦点を合わせた眼内レンズです。
- 3焦点
自然視覚レンズ※1 - ある3点の距離に焦点を合わせた眼内レンズです。
- 焦点深度拡張型
自然視覚レンズ※2 - 遠方から中間、そして実用的な近方距離※3まで切れ目なく見える眼内レンズです。
焦点があっているところでも、場合によっては眼鏡が必要なことがあります。
※1:3焦点レンズは遠・中・近の3つの距離に焦点が合い、老眼になる前の自然な見え方に近いことから「3焦点自然視覚レンズ」とも呼ばれています。
※2:焦点深度拡張型レンズは焦点深度を拡張することで遠方から実用的な近方距離※3まで切れ目なく見え、老眼になる前の自然な見え方に近いことから「焦点深度拡張型自然視覚レンズ」とも呼ばれています。
※3:実用的な近方距離:細かい字を読む場合等に近方用の眼鏡が必要になる可能性があります。
選定療養について
選定療養とは、患者様ご自身が選択して受ける「追加的な医療サービス」で、その分の費用は全額自己負担となります。
令和2年4月より、術後の眼鏡装着率の軽減を目的とした多焦点眼内レンズを使用する白内障手術は、厚生労働省が定める選定療養の対象となりました。
<白内障手術のレンズ選択と費用の関係>
多焦点眼内レンズは、医療費控除・高額医療費制度を受けることができます。
当院で取り扱っている多焦点眼内レンズ(代表例)
- クラレオン パンオプティクス(Alcon社製)
- 世界で最も使用されている多焦点眼内レンズ。ENLIGHTENテクノロジーを使用し、遠くの視力を犠牲にすることなく近方から中間に連続してピントが合う構造を実現。従来の多焦点レンズよりも眼鏡を使う頻度を少なくすることができるのが強みです。
PanOptix製品テクノロジー
PanOptix挿入患者体験談
- クラレオン ビビティ(Alcon社製)
- 遠方から中間距離の見え方を連続的に改善することができるため、他の多焦点レンズよりも自然な見え方に近い生活が期待できます。遠く(標識、信号、テレビなど)や中間距離(車のメーターやナビ、パソコン画面、調理中の手元など)、さらに近方(レストランのメニューなど)も、ある程度は裸眼で見ることができると言われています。(新聞や本、スマートフォンなどの細かい文字を読む際は眼鏡が必要です)
vivity製品テクノロジー
vivity挿入患者体験談
VERION(ベリオン)の導入(Alcon社)
- VERION(ベリオン)の導入(Alcon社)
- 当院では、白内障手術に高精度なガイドシステム「VERION(ベリオン)」を導入しています。このシステムにより、乱視矯正用の眼内レンズの挿入がより正確に行えます。 乱視は角膜の歪みによって生じます。多焦点眼内レンズは乱視の影響を受けやすいため、可能な限り乱視を無くす必要があります。そのため、個々の乱視の状況に応じ、乱視を矯正するために特別な眼内レンズを使う場合があります。このレンズは角膜の乱視を打ち消すために設計されており、個々の角膜乱視の角度に合わせて正確に配置する必要があります。
VERIONシステムは、手術前に角度を測定し、その情報をもとにレンズを正確な位置に挿入することで、乱視の影響を最小限に抑えます。これにより、手術の精度が向上し、より良い視力矯正が可能になります。