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オルソケラトロジーで乱視は矯正できる?適応条件と治療効果を専門医が解説

オルソケラトロジーは乱視にも効くのか

近視矯正として注目を集めるオルソケラトロジーですが、乱視への効果について疑問をお持ちの方も多いでしょう。実は、オルソケラトロジーは基本的に中等度の近視を矯正する治療法として認可されていますが、治療の過程で乱視が改善したという症例も報告されています。

この記事では、オルソケラトロジーが乱視に効果があるのか、どのような乱視に適応するのか、そして子どもの乱視治療における注意点まで、実際の臨床経験をもとに詳しく解説します。

オルソケラトロジーを行っている十川眼科大町院のサイトはこちら:WEBサイトを見る

オルソケラトロジーと乱視矯正の基本

オルソケラトロジーは、特殊なハードコンタクトレンズを就寝中に装用し、角膜のカーブを平坦化することで近視を矯正する治療法です。日本では厚生労働省から中等度の近視矯正として認可を受けており、アメリカでは30年以上の研究歴史を持つ確立された治療法となっています。

乱視とは何か

乱視は、水晶体や角膜のどちらか、または両方が歪んでいるために、ピントを一点に集められない状態です。

近視は遠くのものにピントが合わず、遠視は近くのものにピントが合いません。しかし乱視はどの距離でもピントが合わないという特徴があります。近視や遠視と違い、乱視はピントが1点に集まらずに複数にズレてしまうため、常にボケたりブレたりして見えるのです。

実は、乱視は視力に影響を与えるほど強いかどうかという違いだけで、ほとんどの人が持っているものなんです。

オルソケラトロジーが乱視に効く仕組み

オルソケラトロジーは角膜を平坦化させることで中等度までの近視を矯正します。一方、乱視は角膜と水晶体のどちらかか、または両方が歪んでいる状態です。オルソケラトロジーで角膜を平坦化することが、乱視の原因である角膜の歪みに影響を与えるため、乱視にも効果があると考えられています。

特に近視性乱視の場合、近視矯正の過程で乱視も改善する可能性があります。乱視はほとんどの人が持っているため、近視と乱視が組み合わされることは珍しくありません。

オルソケラトロジーで矯正できる乱視の種類

すべての乱視がオルソケラトロジーで矯正できるわけではありません。

乱視は大きく分けると「角膜乱視」と「水晶体乱視」があり、オルソケラトロジーで効果が期待できるのは角膜乱視です。ここでは、それぞれの特徴と矯正の可能性について詳しく見ていきましょう。

角膜乱視への効果

オルソケラトロジーは、角膜に歪みがある角膜乱視に対して効果が期待できると考えられています。

一般的な適応度数は「-4.00Dまでの近視(中等度)、-1.50D以下の乱視(軽度)」です。近視の治療過程において、乱視が改善したという症例が報告されており、角膜の歪みを平坦化させることである程度効果が出せたと考えられています。

ただし、強度の乱視や不正乱視(角膜の歪みに一定性がなくでこぼこしている)には一般的に適応ではありません。角膜の形状が大幅に変わっている疾患、例えば円錐角膜のような状態では、オルソケラトロジー治療は適応外となります。

水晶体乱視には効果がない理由

水晶体乱視は水晶体が歪んで生じている乱視のため、オルソケラトロジーでは効果が期待できません。

通常、乱視といえば角膜乱視で、水晶体乱視は頻度・程度ともに多くはありません。水晶体乱視になる原因としては病気やケガがきっかけとなることが多く、例えば原因が白内障による水晶体乱視であれば白内障の手術で治せます。正乱視(角膜や水晶体の歪み方が一定方向)の場合であればコンタクトレンズやメガネで視力矯正も可能です。

しかし水晶体の不正乱視では、現時点では良い矯正方法がないと考えられています。

乱視矯正用オルソケラトロジーレンズの開発状況

オルソケラトロジーは、日本では近視の治療法として厚生労働省から認可を受けていますが、海外ではオルソケラトロジーによる乱視や遠視・老視の矯正も行われています。

日本でも、これまでのオルソケラトロジーを乱視や遠視などに適応できるよう高められたレンズや、乱視に特化したレンズも開発されたり登場したりしています。しかし、強度近視や強度乱視に対応しているオルソケラトロジーのレンズは、どのクリニックでも取り扱っているわけではありません。

十川眼科大町院で採用している「オルソKレンズ」

十川眼科大町院では、メニコン社の「オルソKレンズ」を採用しています。

一般的なオルソKレンズでは、軽度の乱視までが適応範囲となりますが、十川眼科大町院ではより幅広い視力状態に対応できるよう、「オルソKレンズ CAデザイン」も導入しています。

このCAデザインは、角膜の形状をより詳細に反映した設計となっており、中等度の角膜乱視(約−2.5D程度まで)の矯正が可能です。

オルソケラトロジーで効果がない場合の選択肢

乱視には、角膜や水晶体の歪み方が一定方向である正乱視と、歪み方に一定性がなく不規則に凸凹している不正乱視とがあります。オルソケラトロジーで乱視に効果が見られない場合でも矯正方法はありますが、正乱視か不正乱視かで違いがあります。

正乱視の場合

正乱視の場合、以下の選択肢があります。

  • メガネ
  • コンタクトレンズ
  • 角膜屈折矯正手術(レーシック)
  • ICL(眼内コンタクトレンズ)

メガネは最も手軽な矯正方法ですが、強度の乱視では歪みを感じることがあります。コンタクトレンズは乱視用のトーリックレンズがあり、比較的良好な視力が得られます。

不正乱視の場合

不正乱視の場合、選択肢は限られます。

  • ハードコンタクトレンズ+涙液
  • ICL(程度による)

ハードコンタクトレンズは、レンズと角膜の間に涙液が入り込むことで、角膜の不規則な凸凹を補正できます。ただし、装用感に慣れるまで時間がかかる方もいらっしゃいます。

オルソケラトロジーで効果が見られない場合でも対応はできるため、専門医に相談してみましょう。

子どもの乱視とオルソケラトロジー

子どもの乱視は早期発見が重要です。

子どもの角膜は柔らかいため、治療開始が早いほどオルソケラトロジーの効果が出やすいという特徴があります。成長期に突入する6歳頃からオルソケラトロジーを始めるのがおすすめのため、6歳前に近視が判明した場合はその時点から治療を始めた方がいいでしょう。

子どもの近視性乱視のサイン

昨今の子どもの近視は環境や社会的事情を原因として、遺伝よりも多い割合で増加しており、乱視と合併している割合も高くなっています。

子どもが乱視、または近視性乱視になっている場合のサインは以下です。

  • 目を細めて見る
  • 眉を寄せる
  • 顔を傾けて見る
  • 横目で見る
  • 近くを見るときに目をこする
  • 片目をつぶって見る

こういった仕草が見られる場合、学校の視力検査や乳幼児健診などで指摘されていなくても早めに眼科を受診し、専門医に診てもらった方がいいでしょう。

子どもがオルソケラトロジーを受ける場合の注意点

親のサポートがあれば、6歳頃からオルソケラトロジーを受けられます。

サポートの際は、特に以下のことに注意しましょう。

  • 適切なケア
  • 定期的な検診
  • リスクや合併症を理解する

オルソケラトロジーのコンタクトレンズは特殊な形をしているため汚れやすく、使用するケースや洗浄液・保存液など、全て専用のものをクリニックで準備して提供されます。取り扱い方法についてもクリニックから指導が行われます。医療用具の分類のため、取り扱いには注意が必要ですが、オルソケラトロジーのレンズは日中は外すため、目の届かないところでのレンズによるトラブルの心配がありません。

オルソケラトロジーを行っている十川眼科大町院のサイトはこちら:WEBサイトを見る

よくある質問(Q&A)

Q1: オルソケラトロジーで乱視は完全に治りますか?

軽度の角膜乱視であれば改善が期待できますが、完全に治るとは限りません。一般的に-1.50D以下の乱視が適応とされており、強度の乱視や不正乱視には効果が期待できません。また、水晶体乱視には効果がないため、まずは専門医に相談して適応かどうかを判断してもらうことが重要です。

Q2: オルソケラトロジーをやめると乱視は元に戻りますか?

はい、装用をやめると2週間〜1か月程度で角膜が元の状態に戻ります。これはオルソケラトロジーの大きな特徴で、可逆性があるということです。ICLやレーシックと異なり、手術の必要がなく侵襲性がないため、何らかの理由で治療を中止しなければいけない場合でも安心です。

Q3: 子どもの乱視にオルソケラトロジーは効果的ですか?

子どもの角膜は柔らかいため、治療開始が早いほど効果が出やすいです。適応年齢は6歳を推奨しています。ただし、親のサポートが必要で、適切なケアと定期的な検診が重要です。

Q4: オルソケラトロジーのレンズはどのくらいの期間使えますか?

オルソケラトロジーのレンズは通常のハードレンズとほぼ同じ素材のため、寿命は2〜3年程度です。適切なケアを行うことで、この期間安全に使用できます。レンズは特殊な形をしているため汚れやすく、専用のケース、洗浄液、保存液を使用する必要があります。

Q5: オルソケラトロジーの費用はどのくらいかかりますか?

オルソケラトロジーは自由診療であるため、クリニックによって価格が異なります。初期費用には検査料・フィッティング費・一定期間の診察費を含む場合と、診察ごとに都度支払いが必要な場合があります。定期検査は必須(3〜6か月ごと)で、長期的にみると診察費が積み重なるため、契約前の確認が非常に重要です。

まとめ

オルソケラトロジーは基本的に近視矯正の治療法ですが、軽度の角膜乱視に対しても効果が期待できます。

適応度数は一般的に「-4.00Dまでの近視(中等度)、-1.50D以下の乱視(軽度)」で、近視の治療過程で乱視が改善する症例も報告されています。ただし、強度の乱視や不正乱視、水晶体乱視には効果が期待できないため、専門医による適応判断が重要です。

子どもの場合、角膜が柔らかいため効果が出やすく、6歳頃からの開始を推奨しています。乱視を放置すると弱視の原因になる可能性があるため、早期発見が肝要です。目を細めて見る、顔を傾けて見るなどのサインが見られたら、早めに眼科を受診しましょう。

オルソケラトロジーは手術の必要がなく、装用をやめれば元に戻る可逆性があるため、安心して始められる治療法です。近視や乱視でお困りなら、一度、十川眼科大町院にお気軽にご相談ください。