1. ホーム
  2. コラム
  3. 若年性白内障の原因と治療法|20代30代でも発症する理由を徹底解説

若年性白内障の原因と治療法|20代30代でも発症する理由を徹底解説

若年性白内障は、糖尿病やアトピー性皮膚炎、ステロイド薬の使用、外傷など、加齢以外のさまざまな要因で引き起こされる疾患です。視力低下や光のまぶしさを感じたとき、「まだ若いから大丈夫」と油断していると、症状が急速に進行してしまうこともあります。

若年性白内障は、早期発見と適切な治療によって視力回復が十分に可能です。本記事では、眼科専門医の視点から、若年性白内障の原因・症状・最新の治療法について詳しく解説します。

若年性白内障とは?若くても発症する白内障の実態

白内障とは、眼の中でレンズの役割を果たす「水晶体」が白く濁る病気です。

水晶体は本来無色透明で、カメラのレンズのようにピントを合わせたり、網膜に像を映し出す働きをします。この水晶体が濁ることで、「物がぼやけて見える」「視界が霧がかっている」「光がまぶしく感じる」といった症状が現れます。白内障の最大の原因は老化現象であり、60代以上の約8割が罹患しているといわれています。

しかし、現代では若年層での発症が増加傾向にあります。30代~40代で水晶体の混濁が見られる方も多く、中には10代後半で発症する例も報告されています。これを「若年性白内障」と呼びます。

若年性白内障の発症率と傾向

若年性白内障の発症には、地域や人種による違いも見られます。

日本では、30~39歳で糖尿病を発症している方が0.7%、40~49歳では1.8%存在し、糖尿病患者は白内障になるリスクが約5倍高いとされています。また、アトピー性皮膚炎の合併症として発症するケースも増えており、特に利き腕側の目に白内障が生じやすい傾向があります。これは、かゆみのためにまぶたをこすったり叩いたりする刺激が影響していると考えられます。

若年性白内障の特徴は、年齢が若いほど症状の進行が早いことです。数か月から半年程度で急激に視力が低下するケースも珍しくありません。

若年性白内障の主な原因|なぜ若くして発症するのか

若年性白内障には、加齢以外のさまざまな原因があります。

ここでは、特に若い世代で発症しやすい4つの主要な原因について詳しく解説します。

1. 糖尿病による若年性白内障

糖尿病は若年性白内障の代表的な原因の一つです。

糖尿病にはⅠ型とⅡ型があり、特にⅠ型では若くして発症します。遺伝的にⅡ型を発症しやすい方もいます。糖尿病に罹患すると、そうでない方に比べて約5倍白内障になりやすくなると報告されています。特に、血糖コントロールが不良な場合は、白内障の進行が著しく早まる傾向があります。

若い年代では人間ドックなどの健康診断を受けていない方も多く、気づかないうちに糖尿病が進行していることがあります。その結果、糖尿病のコントロールが悪化し、白内障が急速に進行してしまうケースも見受けられます。

2. ステロイド薬による若年性白内障

ステロイド薬は炎症を抑える作用があり、さまざまな病気の治療に使われます。

ステロイド薬には内服薬、吸入薬、塗り薬、目薬などがありますが、白内障の原因になりやすいのは内服薬と吸入薬です。アトピー性皮膚炎の治療で飲み薬のステロイドを長期間服用したり、喘息でステロイド薬を長期間吸入する場合は、若年性白内障に注意が必要です。

副腎皮質ステロイド性抗炎症点眼剤を長期間使用することも、白内障発症の一因と考えられています。

3. 外傷による若年性白内障

目に強い衝撃が加わることで発症するのが外傷性白内障です。

野球やテニスのボールが目にぶつかったり、目を貫通して水晶体に異物が刺さったりした場合に発症します。例えば、視力が良好だった少年が試合中に野球ボールがぶつかり、片目に白内障を発症して視力が低下したケースもあります。幸いにも手術により視力は回復しましたが、スポーツ中の目のケガには十分な注意が必要です。

4. アトピー性白内障

アトピー性皮膚炎の合併症として発症するのがアトピー性白内障です。

まぶたをこすったり叩いたりする刺激が影響している可能性が高く、特に利き腕側の目に白内障が生じやすい傾向が見られます。最近では、アトピー性白内障を発症した後、わずか数か月~半年程度であっという間に視力が低下してしまう20代~30代の方が増えています。普段からできるだけ目をこすらないよう気をつけることが重要です。

若年性白内障の症状|早期発見のためのチェックポイント

若年性白内障の症状は、加齢が原因となる通常の白内障と似ています。

ただし、進行の早さや程度に違いがあります。以下のような症状が見られる場合は、若年性白内障の可能性があります。

  • 視力が下がった(眼鏡やコンタクトレンズをつけても改善しない)
  • 車のヘッドライトや太陽をまぶしく感じる
  • 物がかすんで見える、霧がかって見える
  • 白い壁が黄色く見える
  • 眼鏡(老眼鏡)が合わなくなった
  • 物が二重に見えることが増える

これらの症状のうち、1つでも当てはまるものがあれば若年性白内障の可能性があります。

さらに、いくつも当てはまる場合は可能性がより高くなります。通常の近視や老眼、乱視であれば眼鏡やコンタクトレンズで視力矯正できますが、白内障の場合はそれができないのが決定的な違いです。自覚症状がある場合はもちろん、身近な方がこのような症状で悩んでいたら、早めに眼科を受診することをお勧めします。

若年性白内障と老眼・乱視の違い

40代で近くの物が見えにくくなる「老眼」は、水晶体の弾力性低下が原因です。

50代を過ぎると、水晶体の弾力性にばらつきが出てゆがみ、ピントの合い方が悪くなる「乱視」が老眼に加わり、やがて白内障へと進行していきます。白内障は本来透明に近い水晶体が白く濁ることで光が散乱し、物が見えにくくなる病気です。ある日突然発症するものではなく、加齢とともに誰にでも起こり得る現象なのです。

視力低下を感じたら、まずは眼科で正確な診断を受けることが肝要です。

若年性白内障の予防方法|日常生活でできる対策

白内障は老化現象であるため、いつかは発症してしまう病気です。

しかし、少しでも発症や進行を遅らせるためには、普段から予防意識をもつことが大切です。

紫外線から目を守る

日常生活でできる予防法として、極力紫外線から目元を守ることが挙げられます。

紫外線は肌や目にダメージを与えますので、サングラスやUVカット眼鏡、帽子や日傘を使用して目元を守るようにしましょう。強力な紫外線や放射線を長期間浴びることも、白内障の原因の一つです。

生活習慣病の予防

生活習慣病も若年性白内障の原因となるため、喫煙やAGEを含む食品の過剰摂取などには注意が必要です。

バランスの良い食事、適度な運動、禁煙などを意識して、生活習慣病を防ぎましょう。糖尿病やがんなどから身を守ることは、結果的に白内障の発症を遅らせることにつながります。

目をこすらない習慣づくり

アトピー性白内障の予防には、普段からできるだけ目をこすらないよう気をつけることが重要です。

かゆみのためにまぶたをこすったり叩いたりする刺激が、白内障発症に影響している可能性が高いためです。目に異変を感じたら早めに眼科を受診するようにしてください。仕事が忙しいからと病院に行くのを後回しにしているうちに、悪化してしまうケースは少なくありません。

よくある質問(FAQ)

Q1. 若年性白内障は自然に治りますか?

白内障は一度発症すると、薬で治すことはできません。濁った水晶体を人工レンズに差し替える手術が必要になります。ただし、若くてBHL(両側肺門部リンパ節の腫大)だけで見つかって症状がない場合は、8割がた自然になおってしまうこともあります。

Q2. 白内障手術は痛いですか?

ほとんどの白内障手術は点眼麻酔で行われ、手術中はほとんど痛みを感じません。手術の技術向上や機器の進歩によって、短時間での手術が可能になっており、日帰り手術を行う施設も増えています。

Q3. 多焦点眼内レンズは誰でも使えますか?

多焦点眼内レンズは、視力に左右差がある場合などは見え方に違和感を覚えたり不快感を抱くケースもあります。眼科医と相談し、ご自身の生活スタイルや視力の状態に合わせて適切なレンズを選択することが重要です。

Q4. 若年性白内障は遺伝しますか?

若年性白内障の原因は多岐にわたります。糖尿病やアトピー性皮膚炎など、遺伝的要因が関与する疾患が原因となる場合もありますが、外傷やステロイド薬の使用など、後天的な要因も多く見られます。

Q5. 白内障手術後の生活で気をつけることは?

手術後は、医師の指示に従って点眼薬を使用し、定期的な検診を受けることが重要です。また、激しい運動や目をこする行為は避け、紫外線対策を継続することが推奨されます。

まとめ|若年性白内障は早期発見と適切な治療が鍵

若年性白内障は、20代30代でも発症する可能性がある疾患です。

糖尿病、ステロイド薬の使用、アトピー性皮膚炎、外傷など、さまざまな原因で若くして白内障になることがあります。視力低下や光のまぶしさを感じたら、「まだ若いから大丈夫」と油断せず、早めに眼科を受診することが肝要です。

白内障は放置すると進行していく病気ですが、早期発見と適切な治療によって視力回復が十分に可能です。当院では、最新の手術機器と多焦点眼内レンズを用いた日帰り白内障手術を提供しています。高精度なガイドシステム「VERION(ベリオン)」により、乱視矯正用の眼内レンズの挿入もより正確に行えます。

若年性白内障でお悩みの方、視力に不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。

参考文献

著者情報

医療法人光健会 理事長 十川健司

  • 日本眼科学会専門医・網膜硝子体学会所属
  • 医学博士・眼科手術学会所属
  • 視覚障害者用補装具適合判定医
  • ボトックス施注資格認定医