1. ホーム
  2. コラム
  3. 白内障手術のタイミングはいつ?進行度・症状別に旭川の眼科医が解説

白内障手術のタイミングはいつ?進行度・症状別に旭川の眼科医が解説

「白内障と言われたけれど、まだ様子を見ていていいのだろうか」「手術はもう少し先でもいいよね」——そんな気持ちで受診を先延ばしにしている方は、実は少なくありません。

白内障手術のタイミングに「唯一の正解」はありません。ただ、手術を受けるべきタイミングを逃すと、手術の難易度が上がったり、思わぬ合併症リスクが生じたりすることがあります。一方で、症状が軽い段階から経過を丁寧に観察し、生活への支障が出はじめたころに手術を検討するのが、多くの方にとって現実的な選択です。

この記事では、白内障の進行度・症状・生活への影響という3つの軸から、手術を検討すべきタイミングについて整理しています。旭川市で白内障の治療を検討中の方や、定期通院中でタイミングを迷っている方に、少しでも判断の参考になれば幸いです。

白内障手術のタイミングを判断する2つの基準

白内障手術のタイミングを考えるとき、大きく2つの視点があります。一つは患者さん自身が感じる「見えにくさや生活上の不便」、もう一つは眼科医が検査によって判断する「進行度・合併症リスク」です。

どちらか一方だけで判断するのではなく、この2つを組み合わせて考えることが重要です。

自覚症状から判断する場合

日常生活の中で次のような変化を感じ始めたら、手術を検討するサインの一つです。

  • 視界がかすんだり、ぼやけて見えるようになってきた
  • 明るい場所でまぶしさが強くなった
  • 夜間の運転で対向車のライトがにじんで見える
  • 本や新聞の文字が読みづらくなってきた
  • 眼鏡の度数を変えても視力がうまく出ない

自覚症状は個人差が大きく、白内障の進行が同程度でも「気になる」と感じる人と「まだ大丈夫」と感じる人がいます。日常生活に不便を感じはじめたら、まず眼科を受診して現在の状態を確認することをおすすめします。

眼科医の検査結果から判断する場合

患者さん自身は「まだ見えている」と感じていても、視力検査や細隙灯顕微鏡による検査で白内障の進行が確認されるケースがあります。また、眼圧や眼底の状態によっては、自覚症状が出る前に手術を検討すべき場合もあります。

定期的な眼科受診によって進行の速さを把握することが、適切なタイミングを見極めるうえで大切です。

白内障の進行度別・手術を検討すべき時期

白内障は進行度によって大きく4つの段階に分けられます。それぞれの段階で、手術についての考え方が異なります。

初期白内障:経過観察が基本だが定期受診を

水晶体の一部が濁り始めた段階で、ほとんどの場合は日常生活に大きな支障はありません。この時期は手術の必要性が低く、定期的な受診で進行の速さを確認しながら経過観察を行うことが基本です。

点眼薬(ピレノキシン製剤など)は進行を遅らせることを目的として処方されることがありますが、濁りを取り除いたり視力を回復させる効果はありません。あくまで経過観察の補助として位置づけられます。

中期白内障:日常生活への支障が出始めたら検討サイン

水晶体の濁りが広がり、視力への影響が出始める時期です。かすみやまぶしさを感じる方が増え、趣味の読書や車の運転などに不便を覚えるようになります。

この段階では、「生活の質がどの程度下がっているか」が手術を検討する際の重要な基準になります。不便を感じはじめたら、一度担当医と手術の時期について相談してみましょう。

成熟・過熟白内障:手術を急ぐべき段階

成熟白内障は水晶体全体が白く濁った状態で、日常生活への支障が大きく、視界が著しく低下しています。さらに放置すると過熟白内障へと進行し、水晶体の内容物が漏れ出して眼内炎症や続発緑内障を引き起こす危険性があります。

この段階まで進行すると、手術の難易度が上がり、合併症リスクも高まります。できる限り成熟白内障になる前に手術を受けることが望ましく、すでにこの段階の方は早めの対応が必要です。

こんな症状があったら白内障手術のタイミングかもしれない

白内障の進行段階にかかわらず、以下のような変化を感じたときは受診・相談の目安になります。

見えにくさ・かすみを感じるようになった

「なんとなく目が霞む」「遠くがぼやける」という変化は、白内障の典型的な初期サインです。片眼だけに感じる場合も、両眼に感じる場合も、まず眼科で現在の状態を確認することが出発点になります。

夜間や雨天の運転がつらくなった

夜間の対向車のライトがにじんで見える「グレア」や、光の周りに輪がかかって見える「ハロ」は、白内障が進行してきたサインであることがあります。夜間運転に不安を感じるようになった方は、早めの受診をおすすめします。

メガネを替えても視力が出なくなってきた

これまでは眼鏡の度数を調整すれば見えていたのに、最近は替えてもなかなか視力が出ない——そのような変化は、白内障が眼鏡矯正で対応できる段階を超えつつあるサインかもしれません。

免許更新の視力検査が不安になってきた

普通自動車の免許更新には、両眼で0.7以上の視力が必要です。更新のたびに視力検査への不安が増してきた方、高齢者講習を控えている方は、早めに眼科を受診して現在の視力と白内障の進行状況を確認しておきましょう。運転免許の有効期限が迫っている場合は特に注意が必要です。

白内障手術を先延ばしにするリスク

「手術は怖いし、もう少し先でいいか」と考えるのは自然な気持ちです。ただ、白内障は放置しても自然には改善しません。先延ばしにすることで生じる可体的なリスクをお伝えします。

白内障が進むと手術の難易度が上がる

白内障が進行するほど水晶体が硬くなり、手術中に水晶体を砕いて取り出す作業の難易度が上がります。手術時間が長くなると、角膜や周囲の組織への負担も増えます。早い段階での手術のほうが、身体への負担が少ない傾向があります。

転倒・骨折リスクが高まる

視力が低下すると、足元の段差や障害物が見えにくくなります。特に旭川市のように冬季に積雪・凍結が多い地域では、視力低下による転倒リスクは見過ごせません。転倒による骨折が原因で、その後の生活に大きな影響が出るケースは珍しくありません。

急性緑内障発作を引き起こす可能性がある

白内障が進行すると水晶体が大きくなり、眼内の房水の流れを妨げることがあります。これが急激な眼圧上昇を引き起こす「急性緑内障発作」につながることがあり、放置すると短期間で視力に深刻な影響を与える可能性があります。眼の構造上リスクが高いと診断された方には、予防的に白内障手術をおすすめすることがあります。

認知機能の低下で手術が難しくなることも

認知症が進行すると、手術中に動いてしまうリスクが高まり、局所麻酔での手術が難しくなるケースがあります。また、術後の点眼管理が難しくなることもあります。白内障の治療は、全身状態が安定しているうちに対応しておくことが、長期的な生活の質を保つうえでも重要です。近年、視力低下が認知機能の低下と関連するという研究報告も増えており、視力を維持することの意義は眼科的観点にとどまりません。

白内障手術を受けるメリット

白内障手術に対して不安を感じる方は多いですが、メリットについても正しく知っておくことが、判断の助けになります。

視力・コントラストの改善

濁った水晶体を人工眼内レンズに置き換えることで、かすみが取れてはっきりとした視界を取り戻せる方が多いです。色彩やコントラストが鮮明になることで、「こんなに世界が明るかったのか」と感じる患者さんもいます。術後の見え方は個人差がありますが、日常生活の質が大きく改善するケースが多く見られます。

眼鏡の度数を見直すチャンス

白内障手術では、眼内レンズを挿入する際にある程度の度数調整が可能です。近くに合わせるか遠くに合わせるかなど、生活スタイルに合わせたレンズ選びができます。また、多焦点眼内レンズ(選定療養)を選択すれば、近くと遠くの両方にピントを合わせることも選択肢の一つです。費用や適応については診察時に詳しくご説明します。

十川眼科が「手術のタイミング」で大切にしていること

日々の診察のなかで、「もっと早く来ればよかった」とおっしゃる方に出会うことがあります。長い間、見えにくさを「年のせい」と思って過ごされていた方や、手術への不安から受診をためらっていた方です。

白内障手術のタイミングに一律の答えはありません。同じ進行度でも、仕事や趣味、生活環境によって「不便を感じるかどうか」は人それぞれです。

診察では、現在の視力や白内障の状態だけでなく、患者さんの生活スタイルや「どんなことに不便を感じているか」をできる限り丁寧に伺うようにしています。そのうえで、手術の必要性とタイミングについてご説明し、一緒に考えていきたいと思っています。

「まだ大丈夫かな」と思っている間にも白内障は進行します。不安なことや気になることがあれば、まずは診察にいらしてください。

十川眼科 院長 十川健司(日本眼科学会専門医・医学博士)

旭川で白内障の手術タイミングを相談するなら十川眼科へ

十川眼科は旭川市緑が丘に位置する眼科クリニックです。白内障の診断・経過観察・手術まで一貫して対応しています。

「手術が必要かどうかまだわからない」という段階からでもご相談いただけます。定期検診で白内障の進行を把握し、適切な時期に適切な治療を受けていただけるよう、丁寧にサポートします。

旭川市近郊で白内障が気になっている方、セカンドオピニオンをご希望の方も、お気軽にご来院ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 白内障と診断されたら、すぐに手術が必要ですか?

白内障と診断されても、すぐに手術が必要とは限りません。初期段階では経過観察が基本で、日常生活への支障が出てきた段階や、眼科医が進行リスクを判断した段階で手術を検討します。ただし、放置すると手術の難易度が上がる場合もあるため、定期的な受診で進行状況を確認することが大切です。

Q2. 白内障手術を受ける方は何歳くらいが多いですか?

白内障手術を受ける方の年代は70代が最も多いとされていますが、50代・60代から手術を受ける方も少なくありません。白内障の進行には個人差があり、年齢よりも「進行度」と「生活への支障」が手術時期の主な判断基準になります。

Q3. 白内障を放置するとどうなりますか?

白内障は自然に改善することはなく、放置すると進行します。進行すると手術難易度が上がるほか、急性緑内障発作や水晶体起因性炎症などの合併症リスクが生じることがあります。また、視力低下による転倒リスクや、認知機能への影響も懸念されます。

Q4. 白内障手術は何歳まで受けられますか?

白内障手術に明確な年齢上限はありません。ただし、認知症の進行や全身状態によっては手術が難しくなるケースがあります。手術を受けるかどうかについては、年齢だけでなく全身の状態・認知機能・生活環境を含めて総合的に判断します。気になる場合は早めに受診してご相談ください。

Q5. 白内障手術のリスクが心配です。安全性はどうですか?

現代の白内障手術は技術・機器の進歩により、安全性は高い水準にあります。切開は2〜3mm程度と非常に小さく、手術時間も短時間で完了します。ただし、どのような手術でも一定のリスクはゼロではありません。術後感染症や眼圧上昇などの合併症が起こる可能性はごくまれにあります。手術前の診察で、患者さんの目の状態に応じたリスクについて丁寧にご説明します。

著者情報

医療法人光健会 理事長 十川健司

  • 日本眼科学会専門医・網膜硝子体学会所属
  • 医学博士・眼科手術学会所属
  • 視覚障害者用補装具適合判定医
  • ボトックス施注資格認定医