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白内障手術で単焦点レンズを選んで後悔する7つの原因と対策

ICLとレーシック、どちらを選ぶべき

視力矯正手術を検討している方にとって、ICLとレーシックのどちらを選ぶべきかは大きな悩みです。

この記事では、眼科専門医の視点から両手術の違いを7つの観点で徹底比較します。可逆性、強度近視への対応、費用、安全性、術後の見え方、視力の安定性、そして老眼への対応まで、あなたのライフスタイルに合った選択肢を提案します。

手術内容の基本的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、合併症リスクまで網羅的に解説しますので、納得のいく選択ができるはずです。

ICLとレーシック、基本的な手術方法の違い

まず理解しておきたいのは、両手術のアプローチが根本的に異なるという点です。

レーシックは角膜を削る「外眼手術」

レーシックは角膜をレーザーで削り、角膜形状を変えることで視力矯正を行う外眼手術です。片目10分程度で終了し、ダウンタイムが短く早期の日常生活復帰が可能という特徴があります。

2000年に厚生労働省が「エキシマレーザー」の屈折矯正手術への適応を認可して以来、20年以上の歴史を持ち、累計4,000万件以上の症例数を誇る最もポピュラーな屈折矯正手術となっています。

手術翌日までによく見えるようになり、視力回復が早いのが大きな魅力です。費用相場は両眼で20万円から40万円と、ICLと比較するとリーズナブルな傾向にあります。

ICLは目の中にレンズを入れる「内眼手術」

一方、ICLは目の中(虹彩と水晶体の間)にレンズをインプラント(移植)する内眼手術です。世界で100万眼以上の治療実績を持ち、国内でも多くの方が受けられています。

手術は両眼でも10分〜15分で終了します。約3mmの切開創からレンズを挿入し、縫合不要で自然治癒するため、身体への負担も比較的少ないと言えるでしょう。

現在のホールICLはレンズ中央に約0.36mmの穴があり、房水の循環が確保され緑内障や白内障のリスクが大幅に軽減されました。一度挿入したレンズはメンテナンス不要で半永久的に使用可能です。

ICLとレーシックの適応範囲の違い|強度近視ならICLが有利

どちらの手術を受けられるかは、あなたの目の状態によって変わります。

レーシックの適応範囲は-10.00Dまで

レーシックでは、角膜を削って屈折力を調整するため、視力矯正を行うのに削れる角膜が十分にあることが大前提となります。基本的には、矯正する度数が大きければ大きいほど角膜の削る量も増えるのです。

適応範囲は-10.00Dまで(-6.00D以上は慎重実施)で、十分な角膜厚が必要です。強度近視の場合、近視の戻りが起きやすく長期的に良好な視力が得られないため、前房が浅いなどの特別な事情がなければICLを推奨します。

ICLは-18.00Dまで対応可能

ICLの適応範囲は-3.00D〜-18.00D(-15.00D以上は慎重実施)と広く、角膜が薄い方や強度近視の方も治療可能です。角膜を削らないため、角膜の厚さに制限されることがありません。

18歳以上かつ視力矯正で視力が安定している方であれば、重篤な眼疾患や全身の病気がない限り、幅広い方が手術を受けることができます。

ICLとレーシックの可逆性の違い|ICLは元に戻せる安心感

将来のことを考えると、この違いは非常に重要です。

レーシックは元に戻せない

レーシックでは角膜を削るため、元の状態に戻すことはできません。視力が変化した際や合併症が発生した際の修正が難しいというデメリットがあります。

ただし、格安でも術前評価を徹底して良好な経過を得た例もあります。ただし、一度削った角膜は二度と元には戻らないという事実は変わりません。

ICLは万一の場合に摘出可能

角膜を削るレーシックに対して、ICLでは目の中にレンズを移植する手術のため、万一の場合は摘出して元の目の状態に戻すことが可能です。

別の目の病気に罹患して摘出が必要になる場合や白内障手術を受ける際などには、安全に取り出して通常通り治療や手術を受けることが可能です。この可逆性は、将来の不確実性に対する大きな安心材料となります。

ICLとレーシックの視力の安定性と術後の見え方

手術後の視力がどれだけ安定するかは、生活の質に直結します。

レーシックは近視の戻りの可能性

レーシックでは、術後5年〜10年で一定の割合で近視の戻りが発生します。特に強度近視の方は、矯正手術後も生涯少しずつ近視が出てきて裸眼視力が低下することがあります。

また、角膜を削る量が多い場合(強度近視など)、内側からの圧力に対する角膜の強度が弱まり、角膜が前方に突出する医原性角膜拡張症(エクタジア)を起こすことがあります。

一時的なドライアイの可能性もあります。安全性の観点から角膜にフラップという蓋を作成しますが、角膜の知覚神経を遮断するため、涙の分泌量が減り、一時的にドライアイが起きやすくなるのです。

ICLは長期に渡って視力が安定

ICLでは、目にコンタクトレンズを移植する手術で永久コンタクトレンズと呼ばれることもあります。メンテナンスの必要はなく、長期に渡って視力が安定します。

角膜を削らないため、見え方の質も良好です。手術当日はぼんやりとした状態ですが、多くの方が翌日から鮮明に見えるようになります。

レンズ(STAAR Surgical社製)は生体適合性が高く、柔らかい素材でできているため、割れるなどの心配もありません。ただし、トーリックレンズ(乱視用のレンズ)の場合、強い衝撃が加わると目の中でレンズが回旋し、乱視の軸がズレてしまう場合があります。このようなケースでは、再手術によりレンズの位置修正を行うことが可能です。

ICLとレーシックの費用面での比較

初期費用だけでなく、長期的なコストも考慮すべきです。

レーシックは20万円から40万円

レーシックの費用相場は両眼で20万円から40万円ほどとなります。ICLと比較すると安価な傾向にあります。乱視の有無、保証内容、追加施術などによって費用が変動する場合があります。

レーシックは自由診療となりますので、単純に表記価格だけで判断せずに内訳や保証内容、術前術後の総額で判断することをおすすめします。

ICLは45万円から80万円

ICLの費用相場は45万円から80万円ほどと医療機関によってかなり幅があります。レーシック同様、自由診療となり、価格設定は医療機関が自由に設定することができます。

価格がレーシックより高額になる理由は、患者様一人一人のレンズをオーダーメイドするため(レンズが高価)、医師の技術料、取り扱うレンズの種類、乱視の有無、保証内容(検診費用、レンズの入れ替え、位置修正など)などが影響しています。

ただし、長期的な視力矯正を求める方にとっては、コンタクトレンズと比較すると、生涯でかかる費用が少なくなる場合があります。

ICLとレーシックの安全性とリスク

手術である以上、100%の安全はありませんが、両手術とも高い安全性が確立されています。

レーシックは外眼手術で感染リスクが低い

レーザーには眼球自動追尾装置が備わっていて、大部分の手術過程をコンピュータ制御化で行いますので、術者の技量への依存度が低くなります。

ICLが内眼手術という眼球内で行われる手術に対して、レーシックは目の表面上で行う外眼手術ですので、万一感染症を起こした際のリスクという観点においては、レーシックの方が安全性が高いと言えるかもしれません。

ICLは術後眼内炎のリスクが0.02%

ICLは眼球内で行われる手術のため、確率はかなり低い(0.02%)ですが、術後眼内炎という合併症を起こすリスクがあります。

術後眼内炎のリスクを限りなく0に近づけるため、手術室は感染症対策を徹底したクリーンな環境下で行います。加えて、術後は定期検診を受けていただき、日常生活においても目の状態が安定するまではいくつかの制限を守っていただいております。

当院では、滅菌技師の資格を持つスタッフが複数名在籍し、細心の注意を払って手術を行っています。

ICLとレーシック、あなたに最適な選択は?

どちらの手術も安全性の観点では高水準であり、それぞれ既に確立された治療法になります。

軽度近視にはレーシック、強度近視にはICL

-3.00D未満の軽度近視にはレーシック、-6.00D以上の強度近視にはICLを基本的に推奨します。レーシックは微調整が可能で小さな度数を動かすことを得意とし、ICLは強度近視への治療に有効的で大きく度数を改善することを得意としています。

前述の通り、レーシックとICLでは得意としている領域が異なるため、一概にどちらがいいとは断言ができません。

患者様一人一人に最適な治療を提案

だからこそ、医療機関として患者さまの目を診させて頂くにあたり、患者さま一人一人が固有に抱える目の状態や目の問題を明らかにし、それぞれの施術への理解と分かりやすい説明、リスク許容度、適正などから総合的に判断し、治療を提案していくことが大切であると当院では考えております。

当院では両施術について深い知見、手術経験を持つ医師が診察から手術、術後に至るまで責任を持って対応しますので、お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q1: ICLとレーシック、どちらが痛いですか?

どちらも点眼麻酔で行うため、手術中の痛みはほとんどありません。ただ、目の手術ということで多くの方が緊張されていますので、ちょっとした圧迫感を「痛い」と感じてしまうことがあります。術後に軽い異物感が出ることがありますが、翌日には気にならなくなります。

Q2: 老眼にも対応できますか?

ICLには老眼用ICL(多焦点IPCL)もあり、40歳以上の方で老眼が始まっている方でも手術は可能です。レーシックでは、術後の目標屈折度数に少し近視を残して手術をするか、左右で遠近の焦点を変えて手術する方法があります。

Q3: 手術後、どれくらいで日常生活に戻れますか?

レーシックは術後のダウンタイムが短く、早ければ手術当日から視力が上がり、多くの方が手術翌日までによく見えるようになります。ICLも手術当日はぼんやりとした状態ですが、多くの方が翌日から鮮明に見えるようになります。お仕事は、術後3日目の検査で問題がなければ再開いただけます。

Q4: 将来白内障になったらどうなりますか?

ICLの場合、別の目の病気に罹患して摘出が必要になる場合や白内障手術を受ける際などには、安全に取り出して通常通り治療や手術を受けることが可能です。レーシックの場合も白内障手術は可能ですが、角膜を削った影響で眼内レンズの度数計算に工夫が必要になります。

Q5: 乱視も同時に治せますか?

どちらの手術も乱視の矯正が可能です。ICLには乱視用ICL(トーリックレンズ)があり、レーシックも乱視の矯正ができますので、近視と乱視を同時に改善することができます。

まとめ|ICLとレーシック

ICLとレーシックは、どちらも視力回復を目指す優れた手術ですが、アプローチが根本的に異なります。

レーシックは角膜を削る外眼手術で、費用が抑えられ、視力回復が早いという特徴があります。一方、ICLは目の中にレンズを入れる内眼手術で、強度近視にも対応でき、可逆性があり、長期的に視力が安定しやすいという特徴があります。

費用面においては、レーシックの方がICLよりも費用負担を抑えられる傾向にあり、大体半分程度が相場感のようです。一方で術後視力の見え方や安定性、可逆性(元に戻せるか)という観点においては、ICLの方が優れているといえそうです。

ただし、必ずしもICLが優れているわけではなく、比較的近視の度数が低い場合には、レーシックをおすすめさせて頂く場合もあります。

あなたの目の状態、ライフスタイル、将来の計画を総合的に考慮して、最適な選択をサポートいたします。まずはお気軽に十川眼科にご相談ください。

著者情報

医療法人光健会 理事長 十川健司

  • 日本眼科学会専門医・網膜硝子体学会所属
  • 医学博士・眼科手術学会所属
  • 視覚障害者用補装具適合判定医
  • ボトックス施注資格認定医